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□BAR〈HOMRA〉
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『こんにちは……』
俺はBAR〈HOMRA〉の扉を開けた。
本当なら絶対に来たくないけど、関西弁のお兄さんが怖かったし……それと一つ気になったことがあるから。
それは昨晩。家に帰ってお風呂に入るときだ。
いつものように服を脱ぐと左の胸のところに不思議な刺青のようなものがあった。朝見たときはなかったから、きっと〈尊〉のせいだろう。と、勝手に思い込んでここまで来た。
それで間違ってたら恥ずかしいな……
「いらっしゃいませ…って、なんや。昨日の子やないの。」
「へぇ。お前がな……。」なんかスゴいジロジロ見られてる…。なんだろう。
「お前、背小さいな。」
「なッ!!」
俺がなにか言い返そうか悩んでいたところに関西弁のお兄さんが口を挟んだ。
「まぁまぁ、八田もその辺にしとき。
……そろそろ来るで。」
何が?と思っているところに昨日の〈尊〉と呼ばれていた人と女の子がやってきた。
「……やっときたか。待ちくたびれた。」
一歩、また一歩彼が近づいてくる。そのたびに俺も後退していった。
ついに壁際まで追い詰められた。
胸ぐらを掴まれる。
『…ッ!』
襲いくるであろう痛みを予想して、反射的に俺は目を瞑った。
しかし、痛みはなかった。ゆっくりと目を開けると彼の顔が近い。彼の目はあの刺青に向いている。
「………まぁまぁ、か。」掴まれていた胸ぐらを急に解放され力が抜ける。
へなへなと座り込んだところに、先ほどの女の子が駆け寄ってきた。
「……アンナ。よろしく。」
小さな手が差し伸べられる。
『ありがとう。よろしく…って、え?』
「ほな、よろしくな。」
『は?……え?』
意味が分からない。
どういうことだ?
「物わかりの悪いやつだな。今日から吠舞羅のメンバーだってことだよ!」
『ええええええ!!!』
俺、名無しさん名無しさん。今日から吠舞羅のメンバーになりました……