その他

□三大欲求不足中!
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こんがり焼けた豚肉を前に、私は腹を鳴らした。
当たり前だ。ゼクラービルの力を使い襲い掛かってくる豚共を蹴散らしまくっていたから。

しかし、私は脂ののったその肉に手を伸ばしかけ、止めた。
手を行ったり来たりさせて、いい加減冷めてしまうのではないかというぐらいでゼクラービルが私に話しかけてきた。

「おい」
「んー……」
「食わないのか」
「あー、いや……」
「なんだよ」
「…私、豚肉苦手なんだよね」
「は?」

珍しく素っ頓狂な声を上げる彼に私は続ける。

「元々肉ってあんまり好きじゃなくてね。ここには野菜とか無いのかな」
「…………お前なぁ」

口の無い口で溜め息をつかれ、正直少しムッとしたが――まぁ、その通りだろう。こんな状況下ではあまりにも脳天気な発言すぎるだろうかと自分でも思う、が。
嫌いなものは嫌いなので仕様が無い。

「肉嫌いぐらい克服しろよ」
「ちょっと無理ですね!」
「お前……」

私はふらつく身体でゼクラービルを持ち上げる。目指すは豚共が宴を上げる城だ。さっさと奴らを燃やし尽くしてなんとか家に帰り、皿いっぱいのサラダを頬張るんだ。


「でもお前、あれだぞ」
「え?」
「体力が無いと炎も出せない」
「……まぁ、そこらへんは、ね!気合いでね!」
「……お前といると退屈しねーわ」
「そりゃどーも!」
 

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