企画
□君に好きな人が出来たとしても、
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「おはよー、なまえー。」
思いまぶたをこすり、俺より早く朝食を食べているなまえに挨拶をする。
「おはよう!翔陽ー!」
俺の片割れは、今日は、やけに元気だった。
「・・・なんか、良いことでもあったの?」
「え!、ななな、無い、ないよ?」
嘘を吐くのが、ヘタななまえ。
まぁ、俺も人のことは言えないけど・・・・
一番近い距離にいる俺にも、隠し事をするのか、と少し悲しくなる。
◇◆◇
「なー、日向ー。」
「んぁー?なにー?」
お昼休み、大量のパンをかっこんでいた俺に、クラスメイトが声をかけてきた。
自主練したい俺にとっては、少し鬱陶しく感じるものでもあった。
そいつは、少しためらった後、
「あれって、おまえの妹じゃね?」
そう言った。
「?」
そりゃあ、なまえだって、同じ高校なんだし、いても当たり前だろ?
意味が良くわからなかった。
「や、あの窓の外、見てみろよ!」
「?、おう。」
そいつに促されるままに、窓に歩み寄り、ガラスの外側を覗く。
すると、
「なまえ・・・・?」
そこには、なまえがいた。
俺の、知らない男と一緒に。
「妹ちゃんと、あの先輩って、付き合ってんのかー?俺狙ってたんだけどなー。」
すぐ隣にいるはずのそいつの声が、すごく遠くに聞こえて、
「?、ひなたー?聞いてるかー?」
「あ、うん。
・・・・・・知らないけど、なまえにかぎって、そんなことは、ないんじゃない?」
喜ぶそいつの声がする。
ごめん、ほんとは、俺は、何も知らない。
頬を赤く染めてたなまえも、
目を輝かせて学校に行くなまえも、
泣きそうな顔をしたなまえも、
携帯電話を見て一喜一憂するなまえも、
今、俺に見せない表情を、他の男に見せているなまえも、
恋をしているなまえも、
俺を置いていく君だなんて、なんにも、知らない。