企画

□君に好きな人が出来たとしても、
1ページ/1ページ



「おはよー、なまえー。」

思いまぶたをこすり、俺より早く朝食を食べているなまえに挨拶をする。


「おはよう!翔陽ー!」


俺の片割れは、今日は、やけに元気だった。



「・・・なんか、良いことでもあったの?」

「え!、ななな、無い、ないよ?」


嘘を吐くのが、ヘタななまえ。
まぁ、俺も人のことは言えないけど・・・・


一番近い距離にいる俺にも、隠し事をするのか、と少し悲しくなる。



◇◆◇



「なー、日向ー。」

「んぁー?なにー?」


お昼休み、大量のパンをかっこんでいた俺に、クラスメイトが声をかけてきた。

自主練したい俺にとっては、少し鬱陶しく感じるものでもあった。


そいつは、少しためらった後、


「あれって、おまえの妹じゃね?」

そう言った。


「?」


そりゃあ、なまえだって、同じ高校なんだし、いても当たり前だろ?

意味が良くわからなかった。



「や、あの窓の外、見てみろよ!」

「?、おう。」



そいつに促されるままに、窓に歩み寄り、ガラスの外側を覗く。


すると、

「なまえ・・・・?」


そこには、なまえがいた。




俺の、知らない男と一緒に。





「妹ちゃんと、あの先輩って、付き合ってんのかー?俺狙ってたんだけどなー。」


すぐ隣にいるはずのそいつの声が、すごく遠くに聞こえて、



「?、ひなたー?聞いてるかー?」



「あ、うん。

・・・・・・知らないけど、なまえにかぎって、そんなことは、ないんじゃない?」




喜ぶそいつの声がする。








ごめん、ほんとは、俺は、何も知らない。




頬を赤く染めてたなまえも、


目を輝かせて学校に行くなまえも、


泣きそうな顔をしたなまえも、


携帯電話を見て一喜一憂するなまえも、




今、俺に見せない表情を、他の男に見せているなまえも、




恋をしているなまえも、






俺を置いていく君だなんて、なんにも、知らない。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ