企画
□親指姫依存症
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※ジャーファルがロリコン※
ああああああ、なんでなまえはあんなに可愛いのだろう!
「あ、じゃーふぁるだぁ!」
そう言ってその小さな腕を千切れんばかりにぶんぶんと私に向けて振ってくるなまえを見て、頬が緩むのを必死で押さえる。
あのとんでもなく殺人的に可愛い少女(シンには幼女だと言われた)は、ピスティの知り合いの妹さんらしい。
現在は観光兼大好きなお姉ちゃんに会いにここ、シンドリアに訪れている。
情けないことに、初めて会った瞬間そのあまりの愛らしさにやられてしまった。
「じゃーふぁるっ」
てててっ、と効果音がつきそうなくらい可愛らしくなまえがかけてきた。
わた、わたっ、私に会うために!?嬉しすぎます!でも転ばないでくださいね!!
そう思った矢先に、やっぱりずべっ、と転んでしまった。
ぎゃああああ、なまえの美しい体が!体に!
「なまえ!」
慌ててなまえに駆け寄る。
幸い目だった怪我はないようだが、膝を打ったのか、辛そうに蹲っている。
「じゃ、じゃーふぁ、・・・」
「大丈夫ですか!?」
「ぜんぜん、へ、へーき。へーき、だもん・・・!」
ど、どうしよう!泣きそう!なまえが泣きそうだ!
これまでの人生で子どもを慰めたことなど無いに等しい私は、突然の事態にひどく困惑する。
ええっと、こういうとき、何をしたらいいんだ・・・!?
無い知恵を必死に絞っていたら、この間シンドリアで見た、ある親子の情景を思い出した。
確か、この言葉だけで子どもはすぐに泣き止んでいたのだ。
よし、少し恥ずかしいがなまえのためだ。
そうと決まれば実行しよう。
「・・・なまえ、こっちを向いてください。」
意を決してなまえと目線を合わせた。
「?、じゃーふぁる?」
なまえの涙の滲む透き通った眼がこちらを向く。
私はなまえを安心させるように、にこっと笑って、赤くなってしまったなまえの右膝をそっと撫でた。
「痛いの痛いの、とんでいけ!」
羞恥に耐えながらなまえの方を見ると、嬉しそうに、それはそれは愛らしい笑顔を見せてくれたので、私はもっと顔が赤くなってしまった。
「反則ですよ・・・・。」
◇◆◇
「それでその後医務室に行ったんですけど、もう!やばくないですか!?なまえ可愛すぎませんか!?」
「そっすか。」
「よかったねぇ〜」
そうですよ!と言って、酒の入ったグラスを机に置く。
今夜はピスティに誘われて、同じく誘われたマスルールと3人で飲みに来ている。
そこで自然と話題となるのがなまえのことだ。
まぁ私が話題に出しているのだけれども。
「この間なんて!“なまえ、じゃーふぁるのおよめさんになりたい!”って!
なんですかもう!殺す気ですよね!?お嫁に貰ってもいいですか!?」
そこまで言い切ると、マスルールがやけに白けた目で私を見てくる。なんだろう。
脳裏にクエスチョンマークを浮かべていると、マスルールが口を開く。
「ジャーファルさんって、なまえのこと好きなんですか?」
「はい!もちろん!」
「あ、恋人的な意味で。」
「は・・・はい?」
「あ!それ気になる〜。」
恋人?なまえが?私の?
今まで考えもしなかったことを突然言われて、つい考え込んでしまう。
うんうん唸ってみたけれど、結局答えはでなくて。
でも期待する眼差しの二人(主にピスティ)を前に何も答えないわけにはいかず、とにかく何か言おうと口を開く。
「そういうことは、考えたことはないんですが、ただ、」
「うん?」
「ただ、思ったんですよ。一目見た瞬間に。
・・・・・・・この子は、私の天使だ、って。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
二人が急に静かになる。いや、マスルールはもとからあんまり喋ってなかったけど。
「ジャーファルさん、今後なるべく俺に近寄らないで下さい。
なるべく半径25メートル以内には。」
「うん。そろそろなまえにも国に帰ってもらおっかな!」
「え!?な、なんですか?突然!
25メートルって!プールですよ?
あとなまえはまだここに置いておいてください!お願いします!一生のお願いですから!」