大嫌いなヒーロー

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「なまえ!、それ、どうしたんだよ!?」


「え、あ・・・」


廊下で、夕くんに会ってしまった。

夕くんの目線の先には、私の上履き。


大量の悪口が書かれている。

馬鹿だの、ブスだの、亀子だの、私の欠点がほぼ全部というくらいに油性ペンで殴り書かれている。




「それ誰にやられたんだ!?」


「えっ・・・と、」



夕くんは、いつも私を助けてくれる。






「ほら、また西谷くんにチクってる。」



びく、



「男に頼れる人はいいよねー」

「まじ死ねよぶりっこ。」



教室の中から派手な見た目の女の子達が聞こえるように私の悪口を言っている。

反射的に俯いて、制服スカートの端をぎゅっと握る。




「・・・おまえらか。」


夕くんがその女の子たちをギロっと睨む。


その子たちはびくっとして、そそくさと教室を出てどこかに行った。

・・・私のことを睨みながら。




「大丈夫か?なまえ?」


「うん。ごめんね。いつも助けてもらっちゃって。」



「いいっていいって、気にすんな!」


笑顔で、得意げに答える、夕くん。



「後で一緒に上履き洗おうな!」


「・・・うん。」









いつも、私を助けてくれる、夕くん。


大嫌い。




だって、





ヒーローだから。
 

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