大嫌いなヒーロー

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「なまえ!一緒に帰ろーぜ!」



うげ。
夕くんが教室に乗り込んで来た。

今日も無駄に元気100%だ。

目ぇ合わせたくない・・・。

そんな願望はずかずかと私の教室に踏み込んでくるヒーローによりかき消えた。


教室に残っている生徒ほぼ全員が私と夕くんを見る。




あー・・・・・女の子の目が怖いよー。

・・・・・・・・・・・・・・・大地さんよりは怖くないけど。



一緒に帰るとか絶対嫌だし。


無理無理無理拒否拒否拒否。




「夕くん部活はー?」


「今日はない!」



・・・わかってたよ、うん。

早くも私の敗北が決定した。

早すぎる。もっと粘れよ私。


・・・・・・夕くん相手に粘っても意味ないけど。








「おら、遅いぞ、早く準備しろー。」


あ、もう一緒に帰ることは決定ですか。




「うん、ごめんね。」





・・・だから女子の皆さん、怖いですって。


そんな、

何であいつが・・・

あたしのが絶対可愛いのに・・・

調子乗ってんじゃねぇよ亀子が・・・


みたいな目で睨まないでください。

もう言わなくてもわかります、明日はお仕置きですね!




誰か変わって、切実に。いろんなことから。





ひたすらに低いテンションで当の本人である夕くんを見てみる。



「準備できたかー?」



「・・・・・・うん。」




この男は・・・私より鈍感じゃないのか。







「よっし!帰るぞー!」


「わ!ちょ!」



夕くんがいきなり強引に私の手を握って引っ張ってくる。
そしてそのまま早歩きで教室から連れ出された。





ああ、駄目、やめて。



廊下に出ても、その手は繋がれたままで、何がしたいのか理解できなかった。




「お、何だ西谷!ラブラブじゃねぇか!」


ほらやっぱり。

同じ学年の男子がからかってきた。


否定もできずに聞き流していると、夕くんが急に足を止めた。


・・・夕くん?






「おう!うらやましいだろ!」


夕くんは、にかっと、笑った。


きっと、その言葉に他意はない。

ただ、その男子にのっただけだ。


でも、




「なまえ愛してるぜー!」


「こいつ馬鹿だー!」


ぎゃはは、と周りの人たちが笑っている。



わかってる、わかってる、わかってるの。














だから、もう、やめて。
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