大嫌いなヒーロー

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「というわけで!
俺達付き合うことになりましたー!!!!」



夕くんが私の肩を抱きつつ大声で交際宣言をする。


暑い、ってか熱いから。

離れてくれないかなぁ。




そんな強引な宣言に、


「「「「「ええ!!!!?」」」」」


そう面白い声くらいを上げたのは約5名。


スガさんと、東峰さんと、田中くんと、日向くん、
あ、あと知らない子。
ソバカス君でいいか。

ていうか少なくない?
皆もっと驚こうよ。



そんな光景が放課後の烏野高校第二体育館に繰り広げられていました。




昨日私と夕くんの交際がスタートしたわけですが。

取りあえずその当日は何もなく、夕くんも普通に
「よっしゃー!!大好きだぜなまえ!!じゃーな!」
って帰っていった。

まぁ朝は一緒に登校して、お昼も一緒に食べたけど、長い付き合いだし、何がどう変わったとかはなかった。

特に誰にも気付かれることもなく放課後。
夕くんに「部活見てけよ!」とか言われて来たかんじです。


あ、部活の人には言うのね。

バラしたことについてもそのくらいしか思わなかった。




「えーと、よろしくお願いします?」


「何で疑問系だよー。」


取りあえず挨拶したら夕くんに突っ込まれた。


「えへへ、なんとなく?」


そうぽやぽやと笑ってやる。

そしたら夕くんもにかっと笑ってきて、何だか二人の世界風になった。

あれ?





そしたら田中くんの顔が怖おもしろかった。



「おまっ・・・・・ノヤ・・・一体、どうしたんだよぉ・・・!
潔子さんはっ・・・潔子さんはどうしたんだよ・・・!」


「龍・・・。」


え、何この空気。



「俺ら、潔子さんファンクラブはどうなんだよっ!」


田中くんガチ涙目・・・・・


「・・・・・俺は、気づいたんだ。


潔子さんは女神様だってな!」


「なっ・・・。」


「潔子さんは、俺らが侵していいものじゃあ、ないんだよ。」


「ノヤ・・・・・・。」


「ファンクラブもちろん続けるぜっ!
俺はずっと、潔子さんのファンだ!!」


「う・・・・・ぐすっ・・・ノヤあぁぁぁ!!!」



号泣してる田中くんには悪いけど、私彼女として複雑だよ。夕くん。

マネージャーさんも困ってこっち見てるから。




「おまえらデリカシー無いなぁ・・・。」


スガさんが私に気を使ったのかそう言った。


「みょうじちゃんにも失礼だし、清水も気まずいよなぁ。」


うん、良い人だこの人。



「私は全然良いんですよっ。
私も、その、清水先輩には憧れてるし・・・。」


本音です。
全然良くはないけど。


そう言ったら周りがほんわかオーラに包まれた。

マイナスイオン発生成功。



「西谷・・・良い彼女持ったなぁ。」


東峰さんが呟いた。


うん。この人も良い人。
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