大嫌いなヒーロー

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バレー部に挨拶をして(された)家に帰ってからのこと。



「なまえー、ご飯よー。」



部屋でぐうたらしていた私に、お母さんか声がかかった。



「はぁーい。」



返事をして立ち上がる。


今日は疲れたなぁ、精神的にも。

階段を一段下りるに伴って、疲労感が増しているような気がした。


のろのろとキッチンにたどり着くと、私は眉をひそめた。



「・・・・・何、これ?」


机の上にあるものに対しての、私の第一声はこれであった。



「何、って、お赤飯。」

お母さんはさらっと答える。


いや、それは見たらわかるけどね。



「お赤飯、だけじゃないよね・・・。」


机の上には、もちろんお赤飯もあったが、それが霞むほどの、溢れんばかりの料理、料理、料理、がある。




「ちょっとはりきり過ぎちゃったかしら〜。」


ちょっとじゃない。

しかも何か伊勢海老とか鯛とかおめでたいものばかりだ。

重箱は無いが、おせちみたいになっている。




「今日って何かあったっけ?」


何かあるよね、これは。流石に。




「何かって、もう、なまえのことじゃない。」


お母さんには何にも教えてくれないんだからっ、と頬を膨らましている。


いや、え?何にもないよね?


不思議そうな顔でいると、お母さんが、ジトっとした目で見てきた。

な、なんだよぅ




「・・・夕くんと「わあああああああ」


お母さんが言った言葉に目を剥く。

まさか、まさか、



「お母さん嬉しいわよー。
まさか夕くんと家族になる日が来るだなんてねぇ。」


にっこり笑顔のお母さん。



うわああああ、
え?なに?なんでばれてんの?


あまりの羞恥で、机に突っ伏す私を、お母さんは相変わらずにこにこと、眺めていた。
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