大嫌いなヒーロー
□19
1ページ/3ページ
お惣菜屋さんに何が売ってて、何を買うかくらい見てきなさい!どうせなまえは買う前になって悩むんだから!
と、偉大なるお母様に申し付けられたため、私はまだ長袖が必要なくらいには涼しい中、お惣菜屋さんへの道をてくてく歩いていた。
もう2回こけましたけど?なにか?
白いワンピースは土で汚れてしまった。
そんなわけで、私はいつも通りにブルーだった。
というかお母さん、私は夕くんにあげるためのものなんて別に悩まないよ。
そんなこといえないけど。
心の中だけなら言える、お母さんへの文句を抱えて、また転んだ。
・・・私の家は学校に近い。
だからこの高校を選んだわけなのだけれど。
だって、私が電車通学なんてしたら、絶対毎日がデンジャラスだと思うから。
というわけで、近所のお惣菜屋さんも、必然的に学校の近くである。
学校、っていう単語が不幸の象徴である私にとって、これ以上気分が沈む道はないと思う。多分。
◇◆◇
「ありがとうござましたー。」
気の抜けたお姉さんの声とともに、私はお惣菜屋さんを出た。
ふむ、なかなかおいしそうであった。
試しに、お母さんに内緒で、玉子焼きを4つ買ってみた。
こんがりとしていて、少し甘めらしい玉子焼きは、とても食欲をそそられる。
どこかで座って食べたいな、そう思い、適当に補導の脇に腰掛ける。
後ろがフェンスで、結構いい場所だ。
「いただきます。」
そう小さく呟いて、早速玉子焼きを食べようとしたら、
「・・・・・・ねぇ、」
目の前に、大きなプリンがあった。