ねこ
□ジュダル
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あの日から、1ヶ月、彼とは会っていない。
彼が会いに来ないかぎり、私たちが会う手段はないのだ。
前は、そんなことは思っていなかった。
探せば会える、と思っていた。
もう、会えるわけが、ない。
いつも彼と会っていた場所で、一人しゃがみ込んで、ごちゃごちゃぐるぐるする頭と、相対する。
今になって分かる。
私は、彼が好きだ。
この気持ちには、もっと早く気づいて、現実を知ってしまう前の憐れな恋愛を楽しんだ方がよかったのだろうか、それとも、一生気づかない方がよかったのだろうか。
考えても、無駄なことだって、わかっているけど、もし、あのとき、ああしていたら、そうしていたら、の考えが止まらない。
現実は1欠片も変わらないのに。
1番、最も嫌なのは、自分。
神官様じゃあ、しょうがない、どうせ無駄だ、と思って諦めている自分。
本当は、好きで、好きで、しょうがないくせに。
「あいたい。」
勝手に、口から、言葉が、こぼれた。
「あいたい、あいたい、あいたい」
「ジュダル・・・・」
知っていたけれど、今まで口にしたことはなかった単語を、初めて、空に放つ。
虚しく、空ぶった。
目から、透明な液体が流れ出すと、もう、止まらなかった。
嗚咽が、こぼれる。
「ひっ・・・うぅ、ジュダル、に、会いたい、うぁっ、うっ」
「ジュダルにっあいたいっ!」
しん、
やっぱり、辺りには、誰もいないくて、
よけいに、悲しくて。
「うぐっ・・・ひぅっ」
また、涙が溢れたとき。
「呼んだか?」
彼の声が、確かに、聞こえた。