短編

□小さな彼に、
2ページ/3ページ




「そういや、今日来てた子、日向の幼馴染、だっけ?
何か意外でしたよねー」


部活の休憩時間、坊主頭の先輩が、私についいての話題を出しました。

いや、来てたっていうか、まだいるんですけど・・・



「あー確かに。
なんか、こう日向は、バッとガッてかんじで明るく元気だけど、なんかあの子は・・・おとなしめなかんじ?」


「性格正反対そうだったよなー」


「うーん・・・言っちゃあ悪いけど、可愛いのにちょっと暗めだったじゃないですか。
日向が気ぃ使って仲良くしてあげてんじゃあないっすかね?」


制服の端をぎゅっと握ります。

あまり、悔しいとかは、感じませんでした。
やっぱり、周りからも、事実が見えるんだな、と思いました。



ちょっとだけ、悲しくは、ありましたが。



本当は最後まで見ていくつもりでしたが、もう帰ろうと思って、体育館に背を向けました。



そして、体育館裏を抜けて、門のところまで行こうとしたとき、でした。








「ひ、日向君のことがっ、好きなんですっ、付き合ってください!」


「え・・・?」







あちゃーというかんじです。
どうしましょう。

まさかの告白タイムです。しかも翔陽くんに。
翔陽くんは隠れモテ男なんですよね。実は。




「え、と、俺、今バレーで、いっぱいいっぱいだし、付き合う、とか考えたことないから、その、ごめん・・・」


ほっ、と胸をなでおろしました。

それと同時に、あぁ、やっぱり告白しても、振られるんだな、と理解できました。



「そっか・・・」


もの解かりの良い子みたいです。
泣きそうになりながらも、笑っています。



「ごめん・・・」


「ううん・・・」




「あの、1つ、聞いていい?」


「?」







「のいつも一緒にいる子は、日向君にとってどういう存在?」



あ、それ、聞くか、

期待はしないで、耳を傾ける。













「幼馴染、だよ。」



翔陽くんは、困ったように、笑った。












思わずその場から走り出す、私。

回り道でもいいから、早く、速く、この場所を離れたい、学校を出たい、です。



息が、切れます、上手く、肺が、機能、しません。

涙が、ぼろぼろと、際限なく、流れていきます。






ああ、やっぱり、翔陽くんにとっても、私は、お荷物だったんだ。


解かりきっていたことなのに、



なのに、
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ