短編
□小さな彼に、
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「そういや、今日来てた子、日向の幼馴染、だっけ?
何か意外でしたよねー」
部活の休憩時間、坊主頭の先輩が、私についいての話題を出しました。
いや、来てたっていうか、まだいるんですけど・・・
「あー確かに。
なんか、こう日向は、バッとガッてかんじで明るく元気だけど、なんかあの子は・・・おとなしめなかんじ?」
「性格正反対そうだったよなー」
「うーん・・・言っちゃあ悪いけど、可愛いのにちょっと暗めだったじゃないですか。
日向が気ぃ使って仲良くしてあげてんじゃあないっすかね?」
制服の端をぎゅっと握ります。
あまり、悔しいとかは、感じませんでした。
やっぱり、周りからも、事実が見えるんだな、と思いました。
ちょっとだけ、悲しくは、ありましたが。
本当は最後まで見ていくつもりでしたが、もう帰ろうと思って、体育館に背を向けました。
そして、体育館裏を抜けて、門のところまで行こうとしたとき、でした。
「ひ、日向君のことがっ、好きなんですっ、付き合ってください!」
「え・・・?」
あちゃーというかんじです。
どうしましょう。
まさかの告白タイムです。しかも翔陽くんに。
翔陽くんは隠れモテ男なんですよね。実は。
「え、と、俺、今バレーで、いっぱいいっぱいだし、付き合う、とか考えたことないから、その、ごめん・・・」
ほっ、と胸をなでおろしました。
それと同時に、あぁ、やっぱり告白しても、振られるんだな、と理解できました。
「そっか・・・」
もの解かりの良い子みたいです。
泣きそうになりながらも、笑っています。
「ごめん・・・」
「ううん・・・」
「あの、1つ、聞いていい?」
「?」
「のいつも一緒にいる子は、日向君にとってどういう存在?」
あ、それ、聞くか、
期待はしないで、耳を傾ける。
「幼馴染、だよ。」
翔陽くんは、困ったように、笑った。
思わずその場から走り出す、私。
回り道でもいいから、早く、速く、この場所を離れたい、学校を出たい、です。
息が、切れます、上手く、肺が、機能、しません。
涙が、ぼろぼろと、際限なく、流れていきます。
ああ、やっぱり、翔陽くんにとっても、私は、お荷物だったんだ。
解かりきっていたことなのに、
なのに、