短編
□やっぱすき。
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う〜む。
好き、だと思うんだけどなぁ、多分。
でも、私、バレーしてる孤爪君が好き!
ってそれ以外の日常生活の孤爪くんは別に・・・、ってこと?
でもでも、日常の孤爪君にもときめいてるしなぁ。
あれこれ考えているうちに、黒板を消し終わり、友達のところへ戻っていく。
「おっつー」
「おー」
「あ、ポッキーいいな、ちょーだい。」
「へいへい。」
「・・・・・・あのさぁ、」
「ん?」
名前は伏せて、友達に今の悩みを打ち明けてみた。
「で、結局私は、その人のことが好きなんでしょーかね。」
「・・・あんた難しく考えすぎじゃない?
もう好きでいいじゃん。」
「・・・・だよねぇ。」
結局誰だし!
また問い詰めてくる友達を無視して溜息を吐いた。
「あの薄情者〜・・・。」
あたりはすっかり暗くなっていた。
日誌を書くのがとんでもなく遅い私をさっさとおいて帰った友達への恨み言も、ひとけの無い学校に虚しく響くだけだ。
「廊下の明かりは点いてるけど、誰もいない夜の学校ってすごい怖い・・・・。」
怖すぎて口に出してしまうくらい怖い。
私は少し足を速めた。
恐怖に耐えて、やっとのことで昇降口までたどり着いたときのことだった。
「ふぅ〜・・・、ま、なまえちゃんにかかれば楽勝?みたいな。」
・・・・・誰も答えてくれないことに、いいかげん寂しくなってきた。
そりゃそうだ。
「ねぇ、」
「ひきゃあ!!!!!」
出た、出た!出た?
・・・・・・
「あれ、えーと、孤爪くん?」
いつの間にか私の真後ろに立っていた孤爪くんは、こくり、と頷いた。
「こんな遅くにどうしたの?」
思わず幽霊かと思ってしまった。
仮にも好きな人を。いかんいかん。
てか今すごい変な声だしたよね私。
恥ずかしすぎる・・・
「・・・顧問と、話してた。」
孤爪君がやっぱり、どこか少し怯えたように口を開く。
ああ、もうきっと、幽霊なんて関係なくて、孤爪君の声に反応した心臓が、うるさい。
「そっかぁ。
あれ、いつもの先輩は?」
ちょっと強引な。
という言葉は飲み込んだ。
「・・・・クロのこと?
用事があるらしくて、置いてかれた。」
頭の中が、うるさい。
「そーなんだ。おそろいだね。」
チャンスだ、チャンスだって、わかってる。
「孤爪君、」
「・・・何?」
「よかったら駅まで一緒に帰らない?」