短編
□モルさんに嫉妬する主人公(白龍夢)
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おもしろく、ない。
「それで、モルジアナ殿がすごいんだ!こう、でっかくて重たくてかったい敵をぶんぶん投げて!」
「そっかうんその話は50回くらい聞いたかな。」
「後少しだけなんだっ、それで____」
この男はどうやら私を苛つかせる天才のようだった。
白龍はこの間ダンジョンから帰ってきてからモルジアナさんの話ばかりだ。
最初の方は色々興奮してるんだろうし、何だか成長してるし、他の話も混ざってたし、何より本人が楽しそうだから大目に見てたよ?
でも仮にも恋人の前で、そんなに延々と他の女の話をするやつがいますかね。
もうさすがにキレそうです。
「モルジアナ殿のような女性は、美しいな。」
ぶちーん。
キレました。
早かった。
「うんうんそっかー、そうだねー。
じゃあモルジアナさんと結婚すれば?」
辺り1面が凍りついた。
予想以上にブリザードな声を出してしまっていたようだ。
白龍の表情も氷りついている。
「え・・・、なまえ・・・?」
突然、驚いたような表情になった。
「何よ。」
白龍が少し慌てているように見えた。
「う、あの、すまない!
その、そんなつもりじゃあ、なかったんだ。なまえを傷つけるつもりとか、なくて、」
「だから何。」
声が、震えてしまう。
わかってる、わかってるよ。
「だから、その、泣かないでくれ!
なまえが泣いていると、俺もつらいから、その、」
「・・・・・・泣いてない。」
そう言って目の下を服のしわでぬぐった。
うぅ、と白龍が言葉に詰まった。
「・・・・・・。」
この不器用で恥ずかしがりやのこの男が、あれだけのことを言うのに、どれだけ頑張ったのだろう。
以前なら、考えられないことだった。
ダンジョン効果かなぁ・・・・
そう思うと、モルジアナさんのことも、許せるような気がして来た。
「・・・・・・・・・・・いいよ。許す。」
「ほ、本当かっ、ありがとう!」
何でありがとうなんだよ。
そんな、やっぱり少し間の抜けた白龍に、笑顔になった。
「モルジアナさんのことも話していいよ。」
「え?」
「でも今度は、白龍のことも聞かせてね。」
白龍が笑うと、私も嬉しくなった。
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彼方様、リクエストありがとうございます。
片恋い主人公はこれから可愛く書いていけるか不安です。
キャラ崩壊はんぱないです。
白龍がちょっとヘタレでした・・・すみません;
この話を書いていて、そういえばモルさんはフラグ立てるのがうまいなぁとか思ってました。