短編
□君がスキな私
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そんなシンドバット王との謎の会談が終わっていった翌日。
「あ、マスルール君。」
「・・・・・・どうも。」
マスルールくんを発見した。
シンドバットにああも言われたから、とりあえず友好的に接しようと思う。
しかし、うーむ、不機嫌そうだ。
・・・・・・・・よし、ここはもう、ストレートに行こう。
「マスルール君は、私のことが嫌いかい?」
突然変なことを言い出した私に、マスルール君は驚いているようだ。
そして、何故か焦っているようにも見えた。
「は、?え、なに言って、
別に、嫌いとかそんなんじゃ、」
赤い顔でパニックになっている。
どうしたんだ。
「いや、私は以前からマスルール君に良く思われていないような気がしてね。
それをシンドバット王に相談したところ、そんなことはないと言ってもらえたものだから、どうにも気になってね。」
「・・・・・・アイツか・・・。」
少し正直過ぎただろうか。怒っているようにも見える。
「じゃあ、質問を変えよう。
嫌いではないなら、何なのだい?」
そう言うとさらに、マスルール君の顔は赤くなったような気がした。
「・・・・・・・・・、嫌いじゃ、ないっす。」
長い間を置いて、マスルール君は答えた。
「じゃあ何だい?普通ということかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・普通じゃ、ないっす。」
さっきよりも間が増えた。
しかし、これで、ようやくわかった。
「そうか、わかった。ありがとう。
私もきみのことが好きだよ。」
「は?」
「いやなに、消去法だ。
つまり君は私のことを好ましく思っているのだろう?」
「あ、まぁ。」
ふむ、人から好かれる、というのは悪くないものだ。
そんなことを思ったからか、顔の筋肉が緩んだようだ。
「・・・・・・・・・今、笑いませんでした?」
「・・・ほんとか?」
ほんとっす、と彼は答える。
無意識だったのだがなぁ。
思いもよらぬところで目的を達成できた。
「ではマスルール君。
私が好きな君にお願いだ。このことは内緒にしてくれ。」
「このこと、って、笑ったことっすか?」
なんで、と言いかけた彼を制す。
「私は、もう少し、この国を楽しみたい。
きみは、楽しませてくれるかい?」
もちろんです。という言葉に、目を細めた。