短編

□白龍(甘)
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白龍から逆チョコをもらう



今日は良い天気。

私は今、友人の練白龍くんの元へ遊びにいくところだ。

私の家は、どうやら煌帝国でも、1、2を争うほどの名家らしく、幼少の頃より、同い年ということもあって、白龍くんとはよく遊んだ。

まぁ、遊ぶといっても、勉学や鍛錬に励む彼の傍らでただ騒いでいるだけなのだけれど。

しかし、なんだかんだ白龍くんは優しいので、いつも相手をしてくれ、これはこれで楽しいのだ。



「ねぇ!・・・・様には渡すの?」
「でも、受け取ってくださるかしら・・・?」
「あたし、今年は超気合入れてんだから!」
「えー、義理しか用意してなーい。」


・・・・なんだか今日は騒がしい。特に女の子。

なにかの行事でもあるのだろうか?


不思議に思っていたところ、一人の少女の言葉が耳に入った。



「勇気出しなよ!バレンタインなんだしさ!」


あー、今日、バレンタインデーとかいう日かー。

妙に納得すると同時に、重たい気分になる。


外遊びの大好きだった超アウトドアな子ども時代を送ってきた私は、姉様たちがしていたような、花嫁修業などやる気になれず、今でも家事全般が苦手だ。

そのため、バレンタインの、さも女の子が誰かしらにチョコをあげないといけない、という空気が苦手なのだった。



あー、これ、白龍くんにチョコでも持ってきた方がよかったかなー。



そう少し後悔しつつ、城内にいるはずの白龍くんを探す。

いつもアバウトに約束するだけで、待ち合わせる場所などは決めていない。



「お、めっけー。」


炊事場近くで突っ立っている白龍くんを発見した。何だか気難しい顔をしている。




「やっほー、白龍くん。」


「わ!?」


普通に声をかけたら予想外に驚かれた。
どうしたんだい。



「なになに?どーしたの?」


「え、いやっ、べつに!」


「?、あ、なんかもってんじゃん。何、これ?」


あ!と白龍くんが、やられた!って表情になった。
よく状況がわかんないんだけど。



「あれ?それ、チョコ?誰かにもらったの?超本命っぽいじゃん!」


白龍くんが持っていたのは、綺麗にラッピングされたチョコだった。

だけど、そう言うと、白龍くんは、もっと困った顔をした。

そして、そのまま、気まずそうに、




「・・・・俺が作ったんです。その、あげます。」


と言った。



「・・・・・・・まじで!?」


「・・・っやっぱり、引きますよね・・・。」


「白龍くん超すごいじゃん!なんなの!?こんなの作れんの!?というかこれ私が貰って良いの?
ありがとう!!」



素直に興奮しておれいを言うと、白龍くんは、ぱぁっ、と明るくなった。

・・・・すごい可愛いんですけど。




「えと、ホワイトデー、何か返した方がいいよね?何がいい?」


柄にも無く、こちらまで照れてきてしまって、少し話題を出してみる。

けど、ここで、可愛いとしか思わなかった白龍くんに、私は、度肝を抜かれるのだった。







「じゃあ、なまえ殿で。」
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