片恋い。
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どこがすきか、と聞かれたら困る。
特に理由や、何か体験があったわけでもないから。
まず、話したこともない。
目が合ったこともない。
こっちが一方的に見ているだけだ。
一目ぼれ、というわけでもない。
最初に見たときは、何も思わなかった。
ただ、城にいると、よく鍛錬をしている姿を見かける。
その時に見せる、悔しい顔、嬉しそうな顔、満足げな顔、泣きそうな顔、怒っている顔、疲れ切った顔、
いろんな表情を見かける内に、いつの間にか、目で追うようになった。
そうすると、さらにいろいろな表情が見れ、連り合わない、おこがましいと思いつつ、もっと、知りたいと、共有したいと思ってしまった。
好きになるのに理由はいらないとか言ったりするけれど、まさにその通りだった。
世の中には、昔から好きとか、電撃的にとか、さまざまな恋の始まりがあるけれど、
私は、自然と始まる恋だった。