片恋い。
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あああ、どうしよう。
ついにこの日が来てしまった・・・
いや、ついに、ってほど時間は経ってないけれども。
どうしようどうしよう、話かけられたらどうしよう、目が合ったらどうしよう、私のことを見られてしまったらどうしよう
もう白龍様に見られただけで照れで死ねるかもしれない。
照れ死とか嫌すぎる。
頭が爆発しそうになりながら、いつもよりオシャレ(といっても服装は決められているから少し髪型を頑張ったり身だしなみを整えたくらいだけど)をして、厨房でお茶の用意をする。
あ、でも、
ふとよぎる、あの人の顔、白龍様のお姉様のお顔。
白瑛様もお茶会に参加をするらしい。
・・・苦手、なんだよなぁ。
別に嫌いというわけじゃあない。
むしろ、お美しく、お優しく、文武両道の完璧なさまは、女官たちの憧れの的だ。
だけど私は、その完璧、なところがどうも苦手なのだ。
とっつきにくいとか、人間味が薄いとか、自分が惨めになるとか、嫉妬とか、いろいろあるんだろうけど、
多分、1番の理由は、1年ほど前。
まだ私が紅玉様の侍女でなく、城の女官だったときのこと。
青舜様と白龍様がお話をしているところを偶然聞いてしまった。
「白龍皇子は本当に浮いた話とかないですねぇ。」
「ない方がいいだろう。」
「えー、女の子に興味とか無いんですかぁ?」
「いや、あまり・・・」
「もったいないですねー。白龍様のことを慕っている女官とかすごい多いんですよー。」
内心ギクッとした。
え?私?もしかしてバレてる!?
「そうなのか。」
「それだけですか?反応うっすいですねぇ。」
「余計なお世話だ。」
「あ!じゃあじゃあ、好きなタイプとかは?」
青舜様グッジョブです!
城に仕えてきて、これほど青舜様に感謝したことはない。
「ふむ・・・、あまり考えたことは無いが・・・。」
どきどきしながら白龍様の返答を待つ。
「姉上のような女性は、人間として尊敬できるな。」
無理ですやん。
「無理ですやん。」
私の心の声と青舜様の声が重なった。
「そんな人間いませんよ。」
青舜様の目が冷ややかだ。
現実見ろって顔だ。
「現に姉上がいるだろう。」
もうだめだ。
白龍様のこの一言で、私の心は深海へ沈んだ。
それから、かな、苦手になったのは。
大変一方的で白瑛様には申し訳ないんだけれど。
侍女
侍女のゆううつ。