片恋い。
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「香桃ちゃん!夏黄文!次はあっち行きましょ!」
「待ってくださいよー!」
「紅玉様!そこから動いてはいけませんよ!」
ただ今、おしのびで3人で祭りを見て回っているところです。
紅玉さんがアクティブ過ぎて、私と夏黄文殿はハラハラしっぱなしです。
というか、おしのびなのに、こんなに大声で名前を呼んでいいものか。
ふと不安になったが、それは辺りの喧騒でかき消された。
見渡すと、人、人、人。
皆他人のことなど気にも止めずにそれぞれ大いに祭りを楽しんでいるようである。
そのおかげでバレにくいのは良いのだが、いかんせん人が多いため、動きの早い紅玉さんを私たちはすぐに見失ってしまうのだ。
まったく、迷子になっちゃいますよー。
そんなことを思っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・うん、思っていたんだけどね。
ちょっと、一瞬のうちにお二人の姿が見えないというか、私一人というか。
解説していたら置いてけぼられたというか。
あれ?これって、俗に言う、迷子と言うやつでは?
頭に嫌なことが思い浮かぶ。
・・・・・いいや違う。
これは私が迷子なのではない!
紅玉さんと夏黄文殿が迷子なのだ!(ドヤ顔)
もう、しょうがない二人だなぁ。
早く探してあげないとなぁ。
・・・・・・・・ほんとはわかってるんです。
すみません。
ちょっと現実逃避したかったんです。
人ごみに紛れて、
はぁ、
と1つ、溜息を吐いた。
そのときだった。
誰かに腕を、掴まれた。
「へ?」
そのまま引っ張られて、人が少ない方まで連れて行かれる。
「あぁ、なんだ、紅玉さんですか・・・・・・・・・・・・・って、え?」
予想外。