片恋い。
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どうやら白龍様は、ちょうどついさっき、正午ごろに鍛錬が終わったところだったようで、快く私に時間をくださった。
「中庭も、改めて見てみると、なかなか和やかな気分になるな。」
白龍様が、ぽつりと呟く。
今、私と白龍様は、連れ立って、城の中庭に来ている。
もう肌寒い季節だが、今日は日が差していて、ぽかぽかと暖かい。
そんな中、白龍様と、木陰に座る。
「はい。そうですね。
あの、すみません、こんなところまで連れ出してしまって。」
「いや、別に構わない。
用とはなんだ?」
なんだか、白龍様も季候のせいか、少し機嫌が良く見える。
「この間、助けていただいたお礼がしたくて。」
だから私も、少し楽に喋れているのかもしれない。
「あぁ、あのときのことか。
そんなに気にする必要はないぞ。」
「青舜様に、腕が4,5日使い物にならなかったと聞きましたが?」
いたずらっぽく笑って見せる。
「・・・・・、知っていたか。」
少し罰の悪そうな顔をする白龍様。
「ええ。もう大丈夫なんですか?」
「この通り、だ。」
白龍様の、利き腕をぷらぷら振ってみせる態度に安心する。
とても、穏やかな時間だな、としみじみと思った。
そして、本題だ。
「それで、その、お礼、なんですが、」
「あぁ、ここまで来たからには、ありがたく受け取ろう。」
「よかったら、食べてください!」
時刻は、正午を少し過ぎている。
白瑛様にもお願いして、白龍様の昼食準備の係の者にも話はつけてある。
鍛錬を終えたばかりの白龍様に、昼食の入った包みを手渡した。