片恋い。

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俺の行かんとする方向にある少女の、小さな背中が見えた。




あ、


思わず声が洩れてしまいそうになるのをバッと手を口に当てて堪える。


周りの様子を窺うと、ひとりの武官が不思議そうにこちらを見ているのを見つけた。

顔に熱が集まるのを感じる。

武官はさらに首を傾げていたが、何か仕事でもあったのかすぐに歩き去っていった。



俺はふぅ、と息を吐いて、体の力を抜いた。







_____なんとか、しなくては。








最近、いつもそうなのだ。
以前はそんなことなかったはずなのに。


あの少女の姿を無意識に探して、姿を見つけると足をとめてしばらく見つめてしまって、目が合うと緊張とか嬉しさとかで顔が真っ赤になって、挨拶でもしたら胸の動機が鳴り止まなくなる。








俺は、どうなっているのだろう。








悶々としていると、その少女が木下で神官殿に話しかけられていた。



いらっ


なぜだか神官殿に笑顔で応える彼女に苛立ちが沸いた。







なんで、俺のいないところで、俺には見せない笑顔をあの男に見せているんだ。









そこまで考えてふと気付いた。














































ああ、これはまるで、独占欲じゃないか___。











再び顔に熱が集まるのを感じる。











だって、俺が彼女に独占欲を抱くとか、それは、つまり、








香桃、






その一語が俺の頭を支配した。
 

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