片恋い。

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「姉上、俺、恋をしてしまったかもしれません。」







ある昼下がり、最近武術の訓練ばかりしていてなかなか自分から会いに来なかった弟を歓迎したところ、唐突にそんなことを言われた。




ふぐっ、


白龍からは見えないであろう物陰で私の眷属である青舜が小さく吹き出す音が聞こえた。


視線でそれをいさめる。



我が弟は真剣に思い詰めているようで気が付いていなかったのでよかったが、私も声を上げたい気持ちを我慢しているのだ。






「ええと、白龍、それでその・・・、お相手は誰なのですか?」







慕う相手を聞くのは失礼かと思ったが、つい口にしてしまったところ、


かあっ、と白龍の顔に血の気が集まった。




「や!、べっ、別にあいつが好きかも、ってだけで!まだ確定とかじゃなくって!!
ただちょっと動機が激しくなるだけで!あ、あいつが他の男と話したりとかしてると、こう・・・、もやっとするだけで・・・・・。」





これ恋だわ。甘酸っぱいわ。



というか、我が弟ながら恋心に気付いてまず一番に姉に報告するってどうなのかしら。

恋愛経験少なそうにしか見えないし、大丈夫かしら・・・・






不安な気持ちもあったので、依然赤い顔のままの白龍に少し悪戯心を出してつついてみることにした。









「その相手って、香桃ちゃんかしら?」






ぼんっ!


私の言葉を聞いた瞬間、白龍の脳がオーバーヒートしたようだ。

さっきより格段と真っ赤々になって口も利けなくなっているようだった。




ここまでわかりやすいと、本当に不安である。





「あらあら、」





ふと物陰を見ると青舜が憎そうに白龍を睨んでいるのがわかった。









おもしろいことが、起こりそうだ。



いや、もう既に起こっているのかもしれない。
 

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