四神の守護者〜朱雀の守人〜
□第一夜 〜夢の中で〜
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その日の夜、井宿は少女が眠る水晶を枕元におき、眠りについた。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「ここは、どこなのだ?」
気がつくと井宿は、見たことのない森の中を一人あるいていた。
しばらく、歩いていると。
「……はぁっ!……たぁっ!…やっ!……うりゃっ!!」
どこからか、勇ましい声が聞こえてきた。
「?」
井宿が、その声がする方へ向かうと、一人の少年がいた。
少年は、まるで踊るように次々と型をくり出していく。
「すごいのだ…。」
「!? … 誰だ!!」
井宿が、思わず声を出すと少年がこちらを振り向き叫んだ、そして。
「……キツネ…??」
「…オイラ、キツネじゃないのだ…υ」
「うわっ!?人かよ、ビックリした〜υ」
「…ちょっとひどいのだ…υ」
井宿は、ちょっぴり太一君の気持ちがわかったような気がした。
「ハハハッ…わりぃな、まさかここに自分以外の人間が来るとは思わなくってさ。」
「?…ここには、君以外いないのだ?」
「ああ…俺は、自分の役目が来るまでここに……!!?」
そこまで言うと、少年は口を閉ざして何か、考えているようだった。
「どうしたのだ?」
「………」
疑問を投げ掛けた井宿を、じっと見つめると。
「?」
「……そうか、…お前が…俺を見つけたんだな。」
「?…どういうことなのだ?確かに、オイラはここに来て君を見つけたのだ。」
「いや…ちょっと意味が違うんだよ。」
「???」
井宿は、ますます意味が分からないといった顔をした。
「まぁ、あんたとは縁が有るみたいだし、ちゃんと説明するよ。……ところで、あんた名前は何ていうんだ?」
「だっ!オイラは井宿というのだ。」
「井宿か、俺の名前は菜……」
そこで、少年は少し考えて、
「…いや、今は夏緒っていうんだ、よろしくな井宿!」
「夏緒…良い名なのだ!こちらこそ、よろしくなのだ。」
二人は互いに握手をした。
「ところで、“今は”って?」
「細かい事は気にすんなって、それよりこっち来て座りなよ。」