四神の守護者〜朱雀の守人〜
□第二夜〜目覚めて〜
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「菜乃華!…それでは、男の格好なのだ……。」
ヒュッ!…ドコッ!
「だ〜……!」
「井宿、この格好のときは、夏緒だ!」
ヒュ〜〜……………ドサッ!
「だ〜υ…暴力……反対…なのだ…。」
菜乃華は、夢の中と同じで男装をしていた。
井宿がその事に、突っ込みをいれると、すかさず夏緒がアッパーをあびせたのだ。
あわれ、井宿は綺麗な弧をえがいて飛んだのである。
飛びながら井宿は、今朝見た菜乃華は、夢だったのか?とも思った。
「痛いのだ〜υ…………う〜……悪かったのだ、夏緒」
文句を言いたい井宿だったが、夏緒がそっぽを向いているため、ここは素直に謝ることに。
「…………」
「………夏緒?」
返事もなく、こちらを向いてもくれない夏緒に、心配になって声をかける井宿。
「あの……ごめんなさいなのだ。」
もう一度謝る井宿。
すると、
「ごめん……俺もやりすぎた…。」
「だっ!…オイラは、大丈夫なのだ。」
「こんな風に、人とふれ合うの久しぶりだからさ……加減が分からなくて…ハハッ……///」
井宿は、菜乃華が返事をしてくれたことに安心し、同時に二年以上一人でどんな思いをしたのだろうと複雑な気分になった。
「……なっ」
井宿が声をかけようとしたその時、
「夏緒!」
「太一君!」
太一君が、ヌッと現れたのである。
(だ〜υ…何で毎回…タイミングが良いと言うか何と言うか…)
「…………と、いうことじゃ。」
「そうですね、……わかりました、よろしくな井宿!」
「だっ?………何なのだ???」
考え事をしていた井宿は、すっかり二人の会話を聞きそびれていた。
「なんじゃ、珍しいのお主今の話を聞いていなんだのか?」
「……これから、紅南国の町を見て回りたいから井宿も一緒に来てくれないか?」
「だっ!わっ、わかったのだ!」
夏緒の簡単な説明に、井宿はあわてて返事をした。
「よしっ!じゃあ、早速いこうぜ!」
「気をつけて行って来るのじゃぞ。」
「はい!」
「その前に、井宿ちょっと…」
「「?」」
「はいなのだ。」
太一君は、井宿をすこし離れたところへ呼んだ。
「………………」
「……!」
「………………」
「………わかったのだ。」
会話が終わったのか、井宿が夏緒の元へやって来た。
「お待たせなのだ。」
「何だったんだ?」
「大したことではないのだ…さぁ行くのだ!」
「うっ、うん。」
二人は井宿の笠を使って、紅南国の町外れへとやって来た。