捧げ物

□約束をしよう  2
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秋のにおいを堪能しながら、ゆっくりと歩を進める



































 今の時間帯は暗くて葉っぱの色がわからないけど















 昼間はきっと色鮮やかで綺麗なんだろうな

















 そんなことを考えながら















 湖のすぐそばにある木に寄りかかって空を見上げた













 見上げた先には、 














銀の髪の青年が宙に浮いていた














 
 非現実的な光景











 満月にも劣らないくらいに綺麗だと思った













 いつも感じるような心臓の痛みとは違う何かを感じた














 ふと、目があう













 目が離せなくて、その場から動けない


















 瞬きをした瞬間に、青年は消えていた


















 幻でもみていたのかもしれない
















 視線を湖に移して、水面に映った満月を見つめる





















 「おい、お前」















 不意に声をかけられた













 すぐには返事が出来ずに私はただ口を開けていた

















 幻だと思っていた青年が、私の目の前にいる



















 胸がドクンと高鳴る


















 感情がぐるぐると回っていてよくわからない














 ただ一つ分かるのは



















 この人がどこか私と似ていて、でも何か違うっていうこと


















    
    「チッ・・・・」















    私が何も言わないから怒ったのか舌打ちが聞こえた
















    青年は私の座っている木の横にドカッという音と共に座った

















    そして私のことをじっと見つめる















    睨んでいるという表現の方が正しいかもしれない
















    でも、何故かそんなに怖い感じがしない




















    『・・あの』
    「おい」














    声が重なる














    「先に言えよ」















    この人と話したい






















    わたしから人と距離を置いたくせに


















    誰かと話したいなんて

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