捧げ物

□約束をしよう 5
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 約束をしよう 5













スバルくんに別れを告げた日からどれくらいたったのかな

















私の頭の中はスバルくんでいっぱい


















スバルくんを考えてると苦しくて辛くなる時がある















でもそれは、病気を忘れられる瞬間でもある















あれから病気は更に悪化して、もうこの部屋から出ることもなくなってきた



















いつ死ぬかもわからない状態なのに















不思議とそれを怖いとは感じない

















それよりもスバルくんに会えないことが苦しくて、胸が痛くなる


















自分から離れたくせに、














触れたくて、話したくてしょうがないの


















こんなに切ない気持ちになるなんて思わなかった














でも、あの決断を後悔なんてしてない














あのままだったら、優しいスバルくんを傷つける結果になったかもしれない

















私もきっと今より苦しくなったと思うから

















『これで良かったんだよ』

















自分に言い聞かせるようにそうつぶやいた
















ふと夜空が恋しくなって、ベットから起き上がる
















窓のカーテンを開ければ月が覗いていた

















『もうすぐ満月・・・』

















スバルくんと最初にあったのは満月の日だったな




















なんて、スバルくんのことを考えるのをやめようとしてたのに、また考えちゃってる





















月を見てると穏やかで優しい気持ちになれた
















『スバルくんって、月みたい』














月を見ると、あの日を思い出す



















まるで傍にスバルくんがいるような感覚






















私は最近、自分しかいないのに、まるで傍に誰かがいるように話すようになった













寂しく感じているのかもしれない

















スバルくんもそう感じてくれていたかな?



















過去形なのは、きっと、そう感じてくれても最初だけだから
















今はきっと私のことは忘れて、楽しく暮らしてる
















それでいい。それがいい。

















死んでいく人間に縛られるなんて、

















そんな思い、スバルくんにして欲しくなんかない

















なのに、どうして涙がでるんだろう?
















これでよかったって思ってるはずなのに














ただ窓の外を見つめることしかできなかった

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