君に、恋をした (シュウ)

□君に、恋をした 2
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いつもどおりあの桜の木の下でただ響いている歌声を聴いていた






ふと、どんな奴が歌っているのか知りたくなった









別に誰が歌ってたとしても俺が気に入っているのは歌声だから関係ない











それでも何故か気になってしょうがなかった











だからといって見に行くのも億劫だ










第一ここに来るのだって手間はかかるしほんとにめんどくさい








それでもあそこにいるより心地いいから来てるだけだ











顔を知ったところでメリットなんて何一つない











少し考えたけど考えてること自体がめんどくさくなった













これからこんなふうにずっと考えてるくらいなら











いっそのこと見に行ってみるか?











一度みてしまえば俺の気も済む











 今日くらいの手間ならそっちのほうが楽だと考え









 さっきまで声が響いていた方に向かった


 











 上の方から声がするのは知っていた、が

 









 まさかこんなに高い塔だったとは知らなかった










 知っていたらここにこようなんて面倒なこと絶対に考えなかった










 なんで俺がこんなこと・・・











 はぁとため息をついた

 








 それでも来てしまったものは仕方がない












俺にここまでさせたんだから血を吸ったって文句なんかないだろ















 そんなことを思いながら














 ふわりと体を浮かし、窓が空いている場所に向かった












 
 そして今に至る










 イラついていたはずの気持ちは









女が歌っているうちにだんだん薄れていて











 特に何かしてやろうと思うこともない










 俺のことを不思議そうに見ているくせに











 話しかけようとしない

 












 だからといって俺から話させようとかそんなことは











 見てる限り感じられない












 特に嫌な気持ちになることもない











 空はまだ明るくなる様子はなく、















 窓から差し込む月明かりが女を照らしていて










 柄にもなく















綺麗だと、そう思った。


 


























 

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