君に、恋をした (シュウ)

□君に、恋をした 4
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君に、恋をした4









  癒しを求めるように俺は今日もそこへ向かう














 たどり着けば、普段彼女が使っているであろうベッド
















 そこにいつもどおり横になった
















 少女の歌を聴きながら愉悦に浸る













 そう、歌が聴ければいいはずだ















 それなのに俺は、この女を知りたいと望むようになっている

















 何かを望むことはやめたはずなのに















 こんなことを考えるなんて馬鹿らしい
















 そう思っているのに俺は・・・・















 歌ではないものにも、惹かれている













 澄んだ声に、汚いものを知らない無垢な瞳














外の世界が綺麗だとは思わない













 ただ、こいつにこんな場所は似合わない















 外界から遮断された空間には














 「なぁ、あんた・・・ここから出たくないか?」














 ただ、なんとなく、気まぐれに口にした言葉にユイの目が揺らいだ














 どこか迷うように













 女の様子からしてここから出たいと願っているのは確かなはず















 すぐにでもでたいと言ってくるのかと思っていた















 『でたい・・・とは思ったことはあります。でも、いいんです』














 まるで何も望んではいけないと自分に言い聞かせるようにそう言って笑んだ













 どこか儚さを感じるような悲しい笑み













 それがまた俺を惹きつける














 柄にもなく、ここから出してやりたいと、俺が幸せにしたいと思うほどに
















 優しくその体をそっと抱きしめた
















 愛しい。この気持ちを[恋]と呼ぶのかもしれない













 そう思った自分に苦笑した














 俺と来い、とそう言いそうになってやめた















 俺ときたところで幸せになれるわけがない

















 そんなことは痛いほどわかっている














 

 それなのに傍に置きたいと、願っている













 このまま連れ去りたいと















 俺のためだけに歌ってほしいと















 抱きしめられたままに固まっているユイを俺のものにしたい
















 
 ヴァンパイアである俺に魅入られるなんて可哀想な奴だと














 他人事のように考えていると














 おずおずと小さな手が俺を抱きしめ返した














 顔は見えず表情は分からないがほんのりと赤みが見える















 「・・・・・あんた、ばかだな」














 俺に身を任せるなんて
















 その言葉に返答はなかった
















 その夜はただお互いを抱きしめ合っていた

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