TFシリーズ短編
□目に入れても痛くない
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〈サクラ!〉
『?どうしたの?ジャズ』
〈呼んでみただけー〉
『‥……ジャ、ジャズ』
〈どうした?〉
『よ‥……呼んでみただけ』
〈(キューン)〉
〈サクラ!今日も可愛いなー〉
『‥……ジャズも、カッコいいよ』
〈ありがとなー!!!!〉ギュー
『////////』
〈もう、サクラ可愛すぎ。好きすぎる!〉
俺は今、パートナーのサクラを溺愛してる。
サクラは基本無表情で口数が少ないが、必死に俺への返事を返そうとしてくれている。その姿が健気で可愛いんだ。それでたまに、俺に甘えて引っ付いて来たりするから、もうスパークが破裂しそうだ。
んで、そののろけ話を今聞いてもらってる。ラチェットに。
〈それは良かったな、もういっそ籍でも入れたらどうだ?〉
〈まだそこまで深い関係じゃないしなー〉
〈今日夜這いでもしてなればいいだろう?〉
〈いやそれはダメだろ!さすがのサクラでも怒るよ!〉
なんて提案をするだコイツは。
そりゃ俺だってサクラとそういう関係になりたいが、種族が違うし、そもそもアイツがどう思ってるのかも詳しく知らない。
そう、俺は金属生命体。サクラ達人間からすれば宇宙人、エイリアンだ。本当は怖いんじゃないかと心配にもなる。ちょっと力加減を間違えればとんでもないことになっちまうし‥……
〈サクラは、俺のこと本当はどう思ってんのかな〉
ふとこぼれた本音。それにラチェットが返事した。
〈気になるなら直接聞いてみたらいいだろう?〉
〈うん、まぁそうなんだけど。アイツだっていろいろあるだろうし、言いたくなかったりするかも知れねぇし‥……〉
〈弱気になるなんて君らしくもないな。いつもの調子で聞いてけばいい話だろう〉
『おーいラチェット!スワイプのリペア手伝ってくれ!』
〈アレックス!そこまで大した怪我じゃねぇって‥……『ぁあ?』スミマセンゴメンナサイ〉
〈あぁ、今行く。サイドスワイプは動かないようにしておいてくれ〉
『オッケー』
〈鬼ぃーー!!!!!!!!〉
ラチェットと話してれば、任務から戻ったサイドスワイプとアレックスが来た。任務で怪我したらしい。またラチェットの鬼畜スイッチがONになるよ。
サイドスワイプの悲鳴は聞きたかないから、俺は早々に部屋を出た。
〈俺らしくもない、か〉
部屋を出てから、ラチェットに言われたことを思い出していた。
〈ラチェットに言われるとはなぁ〉
『ジャズ?』
〈!!!??Σ(゜Д゜)〉
突然後ろから声が聞こえたせいで、俺は大袈裟に体をビクつかせた。
〈さっサクラ!どうした?〉
『こっちの台詞。独り言、言ってたから‥……どうかした?』
コキュンと首をかしげるサクラ。無意識なんだろうが、もうスパークが破裂寸前だ。
サクラの姿を見て、俺はラチェットの言葉を思い出す。
【君らしくもないな。いつもの調子で聞いてけばいい話だろう】
〈(いつもの調子っつったって‥……)〉
『ジャズ?』
上目遣いでまた首をかしげるサクラ。もうだめだ、食べちゃいたい。
〈なぁサクラ、サクラは俺のことどう思ってる?〉
『どう‥……‥……‥…大好きなパートナー』
ヤバい、マジヤバい、可愛すぎる。
『でも、たまに一人で抱え込む癖がある。オプティマスもだけど‥……私にも相談して欲しい』
〈サクラ‥……〉
『私、あなたがどんな姿でも、嫌いになんてならないよ‥……エイリアンとかそういうのも、気にしない。ジャズはジャズ、私の大好きで大切なパートナーであることに、変わりないから‥……』
俺は思わず彼女を掬い上げ抱き締めた。
嬉しかった。その言葉が聞きたかったんだ。話すことが苦手なのに、それでも必死に伝えてくれたサクラが愛しい。大好きだ。
俺は壊さない程度に強く抱き締める。
『ジャズ?なにかあったの?』
〈悩んでたのが馬鹿馬鹿しくなったんだよ。サクラがこんなにも俺のこと愛してくれてるのに、バカだよな、俺〉
すると、サクラが俺の背中に手を回してポンポンと優しく叩いてくれた。
『ジャズはバカじゃないよ‥……悩まなくていいよ』
〈うん、ありがと。なぁサクラ?〉
『ん?』
〈愛してる〉
耳元でそう伝えれば、サクラは顔を赤くしながら 俺の肩に顔をすり寄せた。
こりゃあ当分、サクラから離れられそうにないな。
あとがき
実写ジャズ相手で激甘?な話でした。なんか思い描いていたものと違うような‥……
無口は書くのムズいっすな