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□敵わない部下
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「総悟ォォォォ!!」
真選組の屯所には今日も土方の怒声が響く。
「テメェ、仕事サボってんじゃねぇぇぇ!!」
元気よく廊下をドタドタと走る沖田と土方。その光景を近藤は楽しそうに眺めていた。
「土方さん、煙草吸ってないからって俺に当たらねぇで下せェ」
「違うだろうがァァァ」
そんなやり取りを続けていると突然沖田が立ち止まった。
あまりに突然だった為、土方はそのまま沖田にぶつかってしまう。
「何だよ」
「仕事…、サボった訳じゃねぇんでさ」
「何言ってんだ?」
「実は…、お婆ちゃんが俺の顔が死んじまった孫に似てるからって言って…一緒に団子だけでも食べさせてくれって言うから…」
涙混じりに語り始める沖田。それを何も言わずに聞いている土方。
「だから…、だから…」
「あー、わかった。もう良い。此れからはちゃんと仕事しろよ。」
本当は嘘だと分かってる。でも何も言えない保護者バカ。
「ありがとうございまさぁ」
その笑顔が見たいから。
「土方さん、」
「あ?」
「カツ丼食べたいなァ」
「どういう意味だよ」
「分かってる癖にー」
「…ふざけんな、あほ。」
そう言っても結局最後は奢ってあげる。
お前の笑顔には敵わねぇ。
その笑顔の為なら何でもしてやるよ、俺は。
好きだから。
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