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□Happy Birthday
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「やー、今日はトシの誕生日だな!」

朝の会議の後、近藤さんに言われて思い出した。

そう、今日は5月5日。
世間ではこどもの日、なんて騒がれ、空を見上げれば鯉のぼりが泳いでる。
そんなこどもの日が俺の誕生日なのだ。

「今日は盛大に宴会だな!」

「いや、別にそんな…」

「絶対するの!勲、楽しみにしてたの!!」

餓鬼みたいに駄々を捏ねて"じゃあ、また後でな"なんて…。

やっぱり近藤さんは餓鬼みてぇだ。


「あ、副長。おめでとうございます」

前から歩いてきた山崎が笑顔で言ってきた。

「おう。で、山崎。お前のその格好は何だ?」

「あ、今から武蔵さんと一緒にミントンを…」

「山崎ィィィィィィ!!!!」

誕生日でも、何も変わらない屯所。





「総悟ー、いつまで寝てんだ。……あ?」

中々出くわさず、まだ寝ていると思って部屋を覗きに来たが、総悟の部屋はもぬけの殻だった。

「何処行ったんだ、あいつ…」

また仕事をサボって団子屋か、と思い覗いてみても居ない。
万事屋でサボりかと訪ねてみても居ない。
後は駄菓子屋しかねぇと見に行ってみても…居ない。


マジで何処行きやがったァァァァァ!!!!!


捜しても居ないと諦め、渋々屯所に帰る事にした。

はぁ…、誕生日くらい一緒に過ごしたかったのによ。

少し肩を落とし歩いて屯所まで帰り、自室へ急いだ。
もう夕方になっている。
総悟の部屋の前を通りかかると中に人の気配を感じた。

「総悟、居るのか?」

中から返事はない。
が、何やらガサガサと慌てふためくような音が聞こえる。

「おい、大丈夫か?」

「う、うるせぇ 土方コノヤロー!!あ、近藤さんが呼んでやしたぜ!」

結局何も分からないまま局長室へ行き用件を聞いたが「俺は呼んでねぇぞ」と言われた。






そして宴会。
隊士たちが呑み、食べ、ベロンベロンになって倒れている中、冷静に酒をチビチビ飲んでいた俺のもとに、此れまたベロンベロンに酔った総悟が歩いてきた。

「おいおい、そんなチビチビ呑みやがってー。それでも一人前の大人かコノヤロー!」

「お前は未成年のくせにそんなに呑んでんじゃねぇよ」

「あー、聞こえなーい」

こいつ…、悪酔いし過ぎだろ。

「まー、そんなヘタレ土方さんにサプラーイズ」

そう言って総悟が懐から取り出したのは可愛らしいリボンがグダグダに巻かれている一本のマヨネーズだった。

「…総悟。」

「今日、色んな店回って買ったリボンなんですぜ。マヨネーズも高級品でさァ」

少し照れたように目を伏せて言うところを見るとどうやら本当らしい。

「リボンとか上手く結べないけど…。てか、マヨネーズの容器が悪いんでさァ!つるつる滑っ…うわ!」


何やら言い訳を始めた総悟を姫抱きして宴会の場を抜け出す。


俺の誕生日は此れからだ。



ーfinー



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