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□君に見えない世界
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『総悟の目が見えなくなった』

鬼の副長こと土方君からそんな連絡があったのはつい5分程前.
何の冗談かと思いながら指定された場所に行く.
ムサい男ばかりが揃う真選組屯所.
その門に寄り掛かりくわえ煙草をして此方を見ている男がいた.


「あのさ,此方も暇じゃないんだよねー.変な冗談言って銀さんの休憩時間減らすのやめて貰えますー?」

何時もの口調で相手に告げる.そう,俺は至って何時も通り.だってコイツが連絡してきた事なんて信じて無いから.
でも,コイツは何時もと違った.普段なら「テメェは何時も休憩だろうが」とか,何らかの嫌味を言ってくる筈なのに,コイツは黙って俺の顔をジッと見ていた.

「…その様子じゃ,信じて無ェみてェだな.」

「当たり前でしょ.おふざけが過ぎてるからね.どうせまた沖田君の悪戯でしょ.」

「……立ち話も何だ.あがれよ.」


そう言ってコイツは俺を屯所の中に案内した.
何度か来たことくらいある.恋人に会うために何度も侵入したんだから.

「…総悟,入るぞ」

ある部屋の障子の前で立ち止まり,中に居る人物に声を掛けている.
知ってる.此の部屋は
沖田君の部屋.

中からか細い返事があり入室を許された.
土方君が障子に手を伸ばす.俺は生唾を飲み込んだ.
信じてなんかいなかった筈なのに,

俺はこの時何かを恐れていたんだ.





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