01/30の日記

20:16
メモリアム
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天皇の料理番が初めてTVドラマ化される14年前。

東京オリンピックの頃…。

世間は、TV時代劇、近衛十四郎主演の素浪人モノに夢中でありました。

シリーズとして、素浪人月影兵庫、素浪人花山大吉、素浪人天下太平、いただき勘兵衛旅を行く!があります。

中でも、月影と花山は、タイトルこそ違えど中身ほぼ一緒。

違いは白黒からのカラー化であります。

品川隆二扮する焼津の半次は、月影から花山に同じ役柄で続投し、主演の近衛は月影が花山にバトンタッチ。



半次『旦那!月影の旦那!』

花山『誰だ?』

半次『あっしを忘れるなんて!』

花山『お前なんか知らない!俺は花山大吉だ!』

半次『嘘だ月影兵庫の旦那だ!』

花山『嘘なんかつん!それより少しばかり持ち合わせは無いか?実は腹が減ってなぁ…』

近衛の人物設定は実に面白く、大のオカラ好き、酒が切れると弱くなり、瓢箪酒をあおると剣豪に変身してしまう、後の仮面ライダーの原型のようなモノでありました。

或いはジャッキーチェンの『酔拳』みたいなユニークな男であります。

弱点は、なぜか猫で、悪党共と死闘中でも、猫が割り込んで来ると身動き出来ないほど怯えてしまうところ。

後に、先日、他界した近衛の長男、松方弘樹が月影のリメイクを主演していたのでありますが、この時の弱点は蜘蛛(クモ)に変更されておりました。

蜘蛛が苦手なのは、元々は焼津の半次だったのでありますが…昨今の猫ブームに気を使い、変更したとかしないとか…。

さて話を戻しましょう…近衛の殺陣は実に見事なモノでありました。

市川雷蔵が腕を軸に刀でユックリ円を描く『円月殺法』なら、近衛のそれは、手首を軸に刀で円を描く素早い動き。

まるでプロペラのようにクルクル回る殺陣に、悪党の死体の山が出来てしまう清々しさ…。

近衛十四郎…素晴らしい俳優でありました。

松方訃報での、近衛とのツーショット写真がTVに出てましたが、近衛の面影は、天皇の料理番での田辺伍長を演じた次男、目黒佑樹と瓜二つであります。

近衛と目黒は、いただき勘兵衛で親子共演をし、これまた笑わせてくれたモノでありました。

時間というモノは時として実に残酷…昭和がまた少し遠くなったような気がするのであります。

寂しい限りであります。

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