イナズマGO
□本物と偽物
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『初めまして…か?剣城京介。』
鏡を見ているのか、と勘違いしそうなほど画面の中の男は自分に似ている。異なるのは目の色ぐらいだ。俺とは180度違う紫色の瞳には今、画面の光が映っている。
俺がファラムオービアスに連行された後、てっきり大騒ぎにでもなっているかと思っていたがそうでもなかったらしい。そいつが俺の身代わりとなって、アースイレブンに入り込んでいた。
正直悔しい。やっとチームが一つになって宇宙一を目指そうと団結力が高まっているのに。
そこに俺が居ないなんて。
サッカーがしたい。みんなと。
あいつに会いたい…天馬。
『今のお前の気持ち、顔に滲み出てるぜ?ほら、眉間に皺がよっている。』
「…うるせぇ。余計なお世話だ。」
『ふーん?』
奴の挑発的な笑みは、シード時代の自分を思い出させる。どうやら憎たらしい部分まで繊細に真似ているのだろう。見ていて苛々する。
『そんなこと言って、いいのかぁ?』
「…は?」
奴の目が鋭くなる。怒らせてしまったのだろうか。とてつもなく嫌な予感がする。
『お前の恋人の天馬くんだっけ?お前がいなくなってからさぞや溜まっているだろうよ?』
「……?」
『今晩、ヤっちゃおうかな?』
「なっ、」
『バレない自信はあるぜ?お前の記憶は全て俺にインプットされているからな。バレないように『剣城京介』を演じるさ。この前お前が天馬くんとセックスしたのは地球から去る二日前。天馬くんのお家で、だよなぁー?』
顔は俺でも、中身が全くの別人と天馬がヤるなんてこれほどの屈辱があるだろうか。
『お前だけに見せる顔を俺も見ることが出来るし、天馬くんは『剣城京介』の身体と繋がれる。お互いに利点がある。』
「俺にはなんのメリットも無いがな。」
その口を縫ってやろうか。一度黙ってほしい。無性に天馬に会いたくなる。何もかもぶちまけたい。だが、ここはファラムオービアスにある城の一室。どうすることも出来ない腹立たしさと歯痒さが心中に渦巻く。
『……ふっ…ははっ!あはははははっ!』
突然、画面の中のあいつが笑い出す。
「…っ何が可笑しい!!」
『くくっ…いやー、本当に可愛い奴だな、お前は。王女様もさぞお困りだろう。お前が天馬くんへばかり想いを寄せているからなぁー?』
「…あんたに可愛いなんて言われたくない。それに、ララヤはきっと俺をそんな風に見ていない。」
『だとしても、困らせている事には変わりはないだろ?中々夫にならないのは事実だしな。』
「……」
言い返せない。確かにララヤは俺に夫になるように説得してくる。キラキラした目差しは、どこか天馬を連想させる。
『そうそう、いい忘れてたんだけどよ…お前にもちゃーんとメリットはあるんだぜ?』
奴はニタァーと気持ち悪い笑みを作っている。
『王女様の夫になれば、間接的に天馬くん達…いや、宇宙全体を助けられるかもしれないんだぜー?』
「…どういうことだ。」
『あれー?賢いお前なら直ぐに気付くと思ってたんだけどなー?…まぁ、今は天馬くんのことしか考えてないか』
「早く言え」
『はいはい。…王女様の夫になればお前は王となり、主権を握ることが出来るかもしれない。そうすれば、この馬鹿げたグランドセレスタギャラクシーを辞めさせることが出来る。』
「……勝算は?」
『確率は低いが、やってみる価値はあるぞ?』
確かに、間接的には天馬達を…宇宙の各惑星の人々を助けることが出来るかもしれない。だがそうすれば、俺はあいつと別れなければならないだろう。もしかすると、一生会えないかもしれない。
それでも、彼らを俺一人の決断で助けることが出来るのなら…
「…っバレないように、俺の代わりを続けてくれ。ただし、天馬には、手を出すな。俺がララヤの夫となり、宇宙全体を助けることが出来たとしても…お前には『剣城京介』として生きてもらう。」
『ははっ、いい決断だ。わかった。じゃあ、お前のその能力、ソウルもコピーさせてもらう。俺はここから動けないから、お前がこっちへ来い。』
「わかった。」
『じゃ、切るぞ』
ガガッ…プツン
通信が切れた。途端に、この部屋は静かになった。
「…なんで、」
こんなことになってしまったんだろうな。
部屋で一人、思い馳せる。
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自分でも何書いてるのか分からない←
噂の剣偽さんを出したくてっ!(笑)
とりあえず、剣城さん好き←