イナズマGO

□兄さんが来た
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「じゃあ、兄さん。また明日。」


「あぁ。気を付けて帰るんだぞー!」



病室のドアが閉められて、部屋の中に静寂が訪れる。ベッドの横の棚には、さっき弟から貰ったサッカー雑誌が置いてある。


俺は、今サッカー界に風を起こしている雷門中サッカー部のFWである剣城京介の兄・優一である。だが、弟はこの前まで管理サッカーを支配している組織――フィフスセクターにいた。俺の治療費の為だとか言っていた。


確かに足を一日でも早く治して、京介と一緒にサッカーをしたい。が、それで京介が苦しむのなら、足が治っても喜べない。


帝国学園との試合の日、京介が黒い服を着た男と話していた。内容を知って、思わず怒鳴ってしまった。京介が病室を出ていったあと少し後悔したが、きっとあれで良かったんだと思った。


そして、俺達兄弟はちゃんと仲直りでき、平和な日々を過ごしている!



…なのだが。



「はぁ…」



兄としては、寂しく思う。というより、暇なのだ。京介が中学に上がりたてのころは毎日のように病室へ来てくれたのだが、最近はサッカーの練習で週に二回ぐらいのペースだ。


毎日見舞いに来る京介に、「毎日来なくてもいいんだぞ?」とかなんとか言った気はする。というか言った。言ったけれども…



「こんなに寂しいとは思ってなかった!!」



ずっと病院の中にいると、寝るかリハビリか本を読むか…室内で出来ることしか出来ない。たまに来る太陽くんとのおしゃべりは楽しいけれど。


「京介とサッカーしたいなぁ…ん?サッカー?」


今の自分にサッカーは出来ないが、京介がサッカーしている姿なら、もしかしたら見れるかもしれない。外出許可さえおりれば問題ないのだ。最近は身体の体調も良いので行けるに違いない。



「え、どうしよう…楽しみすぎる」



いつ行こうかな…よし、さっそく先生に聞いてみよう。あぁ、久しぶりの外出だな。もちろん、京介には内緒で。


「ふふっ!京介、驚くかな?」


大事な弟の驚く姿を期待して、その日を楽しみに待とう。



「よし、絶対行くぞ!」



雷門中学校へ!

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