イナズマGO

□円←京(更新中)
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自分でも分かっていた。自分の想い人は同性で、年齢が一回り違う。それらを抜きに考えたとしても、相手は既に結婚していて美人な奥さんがいる。この恋が叶わないことなんて、最初から分かりきっていた。だから、最初からなかったことにして、忘れてしまおうと思った。抱いているこの想いは、恋心なんかではなく、選手が監督を尊敬する気持ちなのだと自分に言い聞かせた。ちゃんと理解した。納得した。




…はずだったのに。




*****



午前9時



今日は祝日ということもあって、サッカー部の練習は久々に休みだった。ゆっくり家で休もうと思っていたが、メールで天馬に、今から河川敷でサッカーをしないかと誘われた。きっと他のやつらも誘ってあるのだろう。行かないわけがなかった。


「了解っと。」


返信して、動きやすい格好に着替える。サッカーボールは天馬が持ってくるので、持って行くのはタオルと水筒だけ。昼ご飯は秋さんが作ってくれるらしい。用意をして、玄関でスパイクを履きながらリビングにいる母に叫んだ。


「母さーん、」
「なぁにー?」
「サッカーやってくる。」
「お昼は?」
「天馬のところで」
「迷惑かけないようにね」
「わかってる」
「暗くなる前に帰ってくるのよ?」
「ん。じゃ、いってくる」


外へ出ると、雨雲の隙間から太陽の光が射している。少々肌寒いが、午後からは暖かくなると天気予報ではそういっていた。

 
河川敷に向かって走り出した。
 

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