W学園は楽しいところっ!
□侵入と捕獲と生徒会
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暫く経つと、ゴキゴキが止まった。どうやら生徒会室に着いたらしい。
「はぁ……。アイツらの相手は出来るだけしたくないのだが……」
「仕方ありませんよ、彼らですから」
彼らって誰だ!?
「……入るか」
ゴキゴキがため息混じりに嫌そうに言う。
「そうですか。では、私は今から用事があるのでこれで失礼します。後は頼みましたよ、ルート」
「ああ。じゃあな」
ゴキゴキが生徒会室に入る時、ゴキゴキの前を歩いていた敬語の人が生徒会室の入り口の脇にいたのを見た。
き、貴族ぅー!?
「入るぞ!」
ゴキゴキが声を張り上げる。そうじゃないと聞こえないのだ。何せ、騒ぎ声の方が五月蝿いから。
いろんな声が聞こえてくる。「俺の料理が喰えないだと!?」とか「お前の料理はお兄さんの口には合わないんだよ!」とか「じゃあ、バーガーはどうだい?」とか「お前ら菓子喰って落ち着けある」とか「みんな僕のものになりたいのかな?」とか。とかとか。いや、ボクはゴキゴキの背中から聞いてるからあまり聞こえてないんだけど。真っ正面から聞いてるのはボクのお尻だけです。ってか頭に血が登ってて気持ち悪いんですが。苦しいんですが。
要するにそろそろ降ろせってことです。
「お前ら! 侵入者を捕獲してきたんだ、ちゃんと処理しろ!」
「「あ?」」
「ああ、侵入者だね。ルートくんお疲れ様。帰っていいよ」
あれ? もしかしてここに降ろされる感じ? いや確かに降ろして欲しいとは思ったけど、マジで?
「見たところ男の子に見えるけど?」
その言葉でゴキゴキのボクを降ろそうとする動きが止まった。ボクもドキッとする。そう。ボクは今、男装しているのだ。
「いや……。……女だ」
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