書房

□クリスマスはリア充の祭典ではありません。
1ページ/3ページ





ザクザクザク。
意外と積もった雪の上を走っていく。
どこに俺が行ったかもわかるくらいに足跡がついている。

近所の子供が作ったであろう雪だるまが道路の端にあった。
もうそんな季節か。
などともう何日も前に終わった冬至の事を忘れてはいた言葉は白い煙となり消えていった。

――――――…


シャクシャクシャク。
もう誰かが先にふんで滑りやすくなった雪…いや、氷の上を走っていく。

時々道路に落ちている雪の残骸は誰かが雪合戦を開催したことを物語っている。
はぁ…。と口元を覆っていたマフラーをずらして溜息を吐いた。
冷たい空気が急に喉の奥に入り、息ができなくなる。
これが冬か…。
何日も前に終わった冬至の事を知らずにはいた言葉はまた口元にあげたマフラーに消えた。

――――――…


だがあいつはどこにいるのだろうか。
せっかくのクリスマス・イヴだと言うのに。
また何処かをほっつき歩いてるんじゃない
のか?
家を飛び出して30分。
心配にも似た感情が頭をよぎった。
マフラーを忘れた首はこれ以上ないほど冷えきっていた。

――――――…


それにしてもどこだ。
せっかくのクリスマス・イヴだと言うのに。
またどこかにフラフラ行ってんじゃないのか。
怒りに似た感情が胸をよぎった。
家を飛び出して10分。
手袋を忘れた手は早くも赤くなっていた。

――――――…


「やっとか。ってえ?」
やっと着いたのに居ないじゃいか。
折角のサプライズが台無しだ。
今日出掛けるとは言ってなかった気がするんだがな。
まぁ仕方がない。一回帰って電話しよう。

――――――…


「よっしゃ着いた!ってあれ?」
やっと着いたのに居ねぇじゃねぇか。
折角の計画が台無しだ。
今日用事あるって言ってたっけな。
…まぁ寒いしな。いったん帰って電話するか。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ