Main: side RE

□World
1ページ/4ページ

目を開けると明るい木目の天井が出迎えた。
半年もイギリスにいたにも関わらず、すぐに日本家屋だと分かる。そっと手足を動かしてみたが異常はない。
ゆっくり起き上がると、自分が畳の上の布団に寝かされていたのに気付いた。
周りを見渡せばカーテンから明るい陽射しが差し込み、部屋全体が光に満ちていた。

「(現代に、戻って…きた?)」

しかし自分の部屋ではない。
しばらくぼうっと部屋を見ていると、トントン、と階段を上ってくる足音が聞こえてきた。

「おや、目が覚めたかい?」

襖を開けて入ってきたのは、見知らぬおばあさんだった。

「気分はどうだい?」

湯呑を乗せたお盆を畳に置き、名前の顔を覗き込む。

「大丈夫…です」

そう答えるとおばあさんはそりゃあよかった、と言いながら湯呑を手渡した。

「びっくりしたよ、朝お店を開こうと思ったら、店の前に誰か倒れてるんだもんねえ。ちょうど通りかかった
 中学生がここまで運んだんだよ」
「す、すみません…」
「謝ることはないよ。それよりお前さん、どこから来たんだい?家の人が心配してるんじゃないのかい?」

心配そうにこちらを見るおばあさんの優しさにほろりと涙がこぼれた。

「ど、どうしたんだい!?どこか、痛むのかい?」
「いえ…こんなに優しくしてもらったのが久しぶりで…」

教団に入ってから一般人だった名前はエクソシストとしての修業をしなければならなかった。
そしてその師匠がソカロ元帥だった、と言えば彼を知っている大抵の人は同情する。
彼はいわゆる戦闘狂だった。

足腰を鍛えるトレーニングで遅いと言っては戦闘に持っていき、サボったわけではないが筋肉痛でベッドから
動けなかったときに「マドネス」装備でドアをぶち壊してやって来た時には命の危険を感じた。
団員に「師匠は誰だい?」と聞かれて「ソカロ元帥です」と言った時の皆の憐れんだ表情は忘れられない。
ジョニーなんて合掌してきた。
そんな人と毎日過ごしていたこの半年に比べて、なんて平和なんだ現代最高という感動の涙だったのだが、
突然おばあさんは名前の手を握った。

「可哀そうに…辛い思いをしてきたんだね…」
「…へ?」
「お前さんさえ良ければずっと家に居てもいいんだよ。そうだ、まだ名前を聞いてなかったね、なんていうんだい?」
「苗字、名前と言います…」
「名前ちゃんだね、お腹すいてないかい?おかゆを作ってきてあげようね。ちょっと待っててね」

マシンガントークでそういうとおばあさんはさっさと階下に下りて行ってしまった。


…下からちーん!という鼻をかむ音にやっと大変な誤解をさせてしまったことに気付いた。



_________

ソカロ元帥の扱いがひどwwww
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ