86dream

□episode5
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ため息をつきながら部屋を出る。

セオの言葉がぐるぐると頭の中を彷徨っていた。  

思った以上にセオの言葉にショックを受けている自分がいた。



外はキレイな朝日が顔を出していた。
今日もいい天気になりそうだった。が、オレの心は鉛のように重かった。


メンタルは強いほうだと思う。
そうでなければあの腐った世界で大佐なんてなれるはずもない。


でも、それも勘違いだったのかと思うほど、今のオレはガラスのハートだった。






トボトボと鬱陶しい位に凹んでいるオレを隊員たちは心配そうに見ていた。
心配なんてしないでくれ。される資格もないんだ、オレには。


そんな中、たまたま通りすがりのライデンがオレに気づき首に腕を回した。


突然のことに驚いたが、抵抗する気力もなくそのまま連れられる方に大人しくついていった。    




そこはジャガーノートを整備している工場。
ファイドと呼ばれているサポートメカの隣に腰掛けた。



「で、何があったんだ?話聞いてやるから話せ」


『いや、でも、…ごにょごにょ』


ごにょごにょ、小さな声で話すオレに苛立ちを隠せないライデン。

小刻みに足が揺れだした。

「なに言ってんのかわかんねぇよ!はっきり喋れ!誰のことで悩んでたんだ?」


『…セオ』


あぁ、と心当たりがあるようにオレから目線をそらした。

「今朝カイの部屋に行ったろ?そこでなんか言われたか?」

『いい加減僕のことちゃんと見てって…オレ見てたつもりだったんだけど、セオからしたらそうじゃなかったみたいで…ショックで』


ライデンはオレの話にあぁー、それか…と苦笑いをしていた。
まいったな、と手を首にあてた。  


『どうすれば向き合えるのかな、セオと…』


オレの問に困ったようにそうだなーと返事をするライデン。
自分で考えて分からなければ他者に頼るしかない。


「まぁ、カイもセオにぶつかったてみたらどうだ?素直に思ってる事言うとか」

それで解決できるならとっくにそうしてる。
だが、セオの性格上かなり落ち着いていないと話を聞いて貰えそうにない。
 
つまり、今は無理だということ…
距離を取るとさらに関係が悪化する恐れがある。だからこそ、今動ける解決作が欲しい。


いっその事あたって砕けるか?


はぁー、と何度目かわからないため息をつく。   

それにライデンはやれやれと頭を掻いた。

「まぁ、あんま気にすんなよ。セオも本気で傷つけようとしたわけじゃないんだ。構ってやってればそのうち機嫌戻す。とりあえずセオがいる前ではセオのこと1番に考えて行動するんだ。それで丸く収まる!………たぶん」


一番最後の言葉は聞かなかったことにしておいて…
確かに今の解決策はそれしかないのかもしれない。セオが望むようにしてみよう。それで本心が分かるかもしれない。


『分かった。ありがとうライデン。ファイドも聞いてくれてありがとう』


ピピ!っと返事をするファイドにかわいいなと頭を撫でてやる。
嬉しそうに動くファイドは本当に生き物みたいだ。


ライデンにもありがとう!と告げその場を後にした。
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