06/14の日記
03:48
帝光バスケ部合宿一日目F
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――飛翔館前、帝光バスケ部バス到着。
バスから降りた赤司は、飛翔館の主人と話をした後、他の部員達の部屋割りを指示し、荷物を館内へ運ぶように指示を出した。
黒子の荷物は、叩き起こした黄瀬に運ばせる。
「うっ…く、黒子っち…ごめんっス…」
青峰と黒子の行方がまだわからないままだと告げられた黄瀬は、自責の念に刈られてシクシク泣きながら黒子の荷物を運んでいく。
……まるで、葬式のような黄瀬の後悔っぷりに、緑間は呆れながらもバスの横手の収納スペースから、他の部員よりも一際大きな自分の荷物を両肩にかけて、部活用のスポーツバックを手に持った。
紫原は菓子袋よりも軽い自身のバックを肩にかけて、その様子をジーッと見つめる。
「……ねぇ、ミドちん?その荷物いつもの合宿の時より多くない?」
「なに!?これでもいつもよりは五キロも少ないのだよ!」
そう言う緑間は、自身のバッグをパンパンと叩いた。
バスケ用のスポーツバックとは違い、ギチギチと今にもはち切れんばかりに膨れている私物のバッグは恐ろしいほど固くなっているように見える。
……とても、減らしたようには見えない。
しかし、それを少ないと言い切る緑間の感性に、周りにいた部員達は「またか…」と内心ため息を吐きながらも、何も言わずに各自の荷物を持って飛翔館の中へと入ろうとした。
そんな中、一台の配送用のトラックが飛翔館の前に止まっていた帝光バスケ部のバスの前方に止まり、その荷台からは見知った二人の少年が出てきた。
皆様御存じの通り……青峰と黒子である。
二人はトラックから降りるとそのトラックの運転席と助手席の二人の大人に頭を下げた。
「おっちゃん!此処まで送ってくれてマジありがとな!」
「おお!その分練習がんばれよ、ボウズ達!」
「次の全国大会も優勝目指して頑張ってね!俺、いつまでも君達の事応援してるから!」
「はい。期待に応えられるように頑張って練習します」
そう言って、二人はトラックが飛翔館を去るまで感慨深げに見送ると、バスケ部のメンバーと合流するために背後を振り向いた。
「……」「……」
「…やぁ?大輝、テツヤ」
随分遅い集合だったね?それとも……随分速い合流だったと言うべきかな?
にっこりと微笑みを浮かべる赤司を前に、二人はこれから始まる約10分間の…短いようで長い地獄の説教を前に、ガタガタとうち震えて顔を青ざめさせた。
〜無事(?)合流〜
「く、黒子っちー!」
先に部屋に荷物を置いてきた黄瀬は、赤司からの説教を終えた黒子に、涙を浮かべながら抱きつこうとした。
しかし、黒子はそれを避けると
「……黄瀬くんなんて嫌いです」
とボソリと呟き、黄瀬を一瞬でサラサラと砂のように風化させ、青峰と共に合宿準備のために部屋へ向かったのだった。
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