06/21の日記

20:49
帝光バスケ部合宿一日目G
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飛翔館横手にある体育館を貸しきって、帝光バスケ部は朝10時から猛練習を開始しようとしていた。

しかし、そのコートの端に…


「…ダルマ」
「なんで、ダルマが体育館に?」
「ってかさ…なんで、市松人形が蝋燭持ってたり、テディベアがお化け提灯持ってんだ?」
「……これ、夜見たらホラーだよな?」
「いや、今でも十分ホラーだろ!?」


ざわめく部員達の中、それらを設置し終えた緑間は満足気に一つ大きく頷くと、早速練習に打ち込もうとコートの中に入ろうとしたが、その肩を赤司が掴む。

そんな彼は、今にも頭が痛くなりそうで、思わず額に手を当てていた。


いや……もう、ぶっちゃけて言えば、既に頭は痛かった。


「…真太郎、アレはなんだ?」
「?どうしたのだよ、赤司?頭痛か?」
「いいから…答えてくれ」
「む?アレはもちろん、今日のラッキーアイテムなのだよ」
「…数が多いようだが」
「ああ。確かに…流石に一軍全員のラッキーアイテムを揃えて持ってくるのは大変だったのだよ」
「…………全員?」


赤司は、真剣な顔で告げられた緑間の言葉に思わず聞き返していた。

この前の合宿では、緑間は一人分しか携行していなかった筈だ。

それが、今回に限って全員分?

しかも、わざわざコートに持ってきて設置するほどの念の入れよう…

本来のラッキーアイテムの意味を成しているのか?と、疑問に思ったが、ダルマや市松人形、それにぬいぐるみを携行して練習する方がなお悪い。

むしろ、狂気の沙汰だ。

そんな光景を他の人間に見られれば、確実に帝光バスケ部の名が傷付くことは断言できる。

つまり、緑間なりの譲歩はしているのだろう。


(……いや、そもそも、何故全員になったんだ?)


とにかく、どんな理由があるにしろ、この緑間の行為をキャプテンである赤司が認めるわけにはいかない。


よって、赤司は紫原を呼び寄せると問答無用で緑間を拘束させ、監督が飛翔館にくる前に、一軍メンバー数名に緑間本人のラッキーアイテム以外を全て撤去させたのだった。











その後、無事に練習を開始した帝光バスケ部は、昼食を隣の飛翔館で済ませた後、ひたすら赤司の作った練習メニューをこなしていった。

そのメニューで、黒子は三回意識を失い、黄瀬と青峰は使い込んだバッシュに孔を開け、緑間は紫原に二回潰された。

赤司も、部員の指導や練習の指揮を行いながら同じメニューをこなしていたため、身に纏っている服や履いている靴などは、すっかり元の色よりも濃く重くなり、衣服が吸いきれなくなった汗が体育館の床へ落ちる。

そんな過酷な練習を午後3時まで続けていた一軍メンバーを、午後から練習に合流して指導をしていた監督が集合をかけた。

集めた部員の前で、老齢な監督はにっこりと素晴らしく嫌な予感が漂う微笑みを浮かべると口を開いた。


「これから、君達には休憩と息抜きを兼ねたゲームをしてもらう」


そして、近くに居た黄瀬を招き寄せると、風船の入った袋を渡し、一人一つずつ配らせる。


「…これをバスケットボールくらいまで膨らませた後、風船を床に落とすことなく、他の者の風船を割る。風船を割られずに生き残った者が勝者だ……な?簡単なゲームだろう?」

優勝賞品は上手いプロテインだ。
気合い入れて、頑張れよ?


そう言って、監督は一軍全員が風船を膨らませて体育館内に散らばったのを確認すると、首にかけていたホイッスルを高らかに鳴らし、ゲームの開始を告げた。

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