06/26の日記

18:20
帝光バスケ部合宿一日目《夜の章A》
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「…それじゃあ、もう一度ルールの確認をしておこう。両サウナ対決では最初に脱落した者が勝者にジュースもしくはアイスを一つ奢る。その他の者は3人で菓子150円分を一つ奢る。それでいいね?」


赤司は腰タオルの五人を前に、ルール説明を終えると異論の有無を確認した。


「はい。大丈夫です」
「承知したのだよ」
「んー」
「負けないっスよ!」
「そんじゃ、いざ新庄に勝負!」
「青峰くん……それを言うなら“尋常に”です」


意気込んで最初にクールサウナのドアを開けた青峰に、続いて入った黒子が小さく訂正を入れたが、興奮している青峰には届かなかった。

黒子の後には黄瀬、緑間、紫原、そして審判の赤司が続いて入る。

先程まで露天風呂に浸かっていた6人は、約2分間は別段変わった様子もなく座っていたが、それを過ぎると段々寒さが身に凍み始めていた。


「「「「「…………」」」」」


あ。ヤバイ……思っていた以上に寒いや。コレ。


言葉遣いは違えども、皆一様に同じことを考えていた。

審判である赤司は、そんなメンバーを尻目に一人平然とした顔で、メンバーの顔色や様子を注意深く観察する。

無理して体調を崩されては明日の練習に響く可能性もあるため、ゲーム審判としてはそのあたりの事も考慮しなければならない。


「5分経過…」


赤司の声に、一人の人物が肩をピクリと動かした。

その反応を見た赤司は、チラリとその青い顔色を見て声をかける。


「テツヤ、大丈夫かい?」
「……だ…大丈、で…す」
「テツヤ、今すぐ此処から出て温まれ。これ以上此処にとどまる許可は出せない」
「……は、い」


黒子テツヤ、一人目脱落。


黒子の抜けた後に続き、閉じた口からガチガチと歯音を響かせ始めた緑間が脱落し、続いて体を動かして寒さを凌いでいた黄瀬が我慢できずに脱落。

残るは、青峰と紫原、そして審判赤司の3人だった。

青峰は乾布摩擦の要領でゴシゴシと手足をこすり、紫原は持ち込んだ洗面器の中から飴を出して空っぽの口に含ませる。

そんな二人を見比べた赤司は、組んでいた両手を外して立ち上がった。


「大輝、この勝負は敦の勝ちだ」
「ハァ!?んでだよ!?俺はまだやれるぜ!」
「だが、敦の方が大輝よりも寒さに余裕がある」
「んなの、やってみにゃとわけんねぇだろうが!?」
「……舌が回っていないみたいだが?」
「アハハ、青ちん可笑しいね?」
「〜〜む、むらはきばらっ!!」
「……この勝者は敦で決定だ。大輝、敦出るぞ」


クールサウナで顔色が全く変わらなかった赤司は、青峰と紫原を引き連れて、脱落メンバー3人のいる露天風呂に向かう。

3人は既に体が温まったようで、顔色も体調も良好だった。


「赤司くん」
「あ、お帰りなさいっス」
「ただいま」
「それで?どっちが勝ったのだよ?」
「敦だよ」
「納得いかねぇけどな…」


不貞腐れた青峰を黒子は宥めすかしたが、青峰も内心は赤司の判断が正しいことをわかっているため、最終的には納得するに至った。

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