03/25の日記
23:02
突発!!隣の授業時間!!
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冬の寒さも和らぎ、暖かい季節になろうとする穏やかな時期。
そんな最中に行われる心地よい朝の授業を受けていた黒子は、唐突に不吉な違和感を感じて、前方の教員から窓の外へと視線を向けた。
「…………」
“ぁ。黒子っち〜、またまた会いに来たっスよ!”
その視線の先には、黒子の気に入りである桜によじ登った黄瀬が、バランスを取りながら口パクで黒子に話し掛け、嬉しそうに手を振っている姿があった。
「……」
(ナニヤッテルンデス?アノバカハ?)
黒子はその呆れた光景に一瞬だけ思考が簡素になるが、すぐに反射的に隣で居眠りをしていた火神の筆箱を掴み取ると、窓をガシャン!と完全開放。
その中身の少ないスチール製の筆箱を、浮かれた黄瀬の顔面目掛けて目にも留まらぬ早業(はやわざ)で投げつけた。
ブン!
ドガシャ!!!!!
“ぶっ!?”
樹上で黒子の攻撃を上手く避ける事が出来なかった黄瀬の額に、火神の筆箱が音高くめり込む。
すると、その音と小さな悲鳴が黒子のいる教室の中にまで届いた。
「?何の音だ?」
「なんか、めっちゃ金属っぽい音したよな?」
「…何か、人の声しなかった?」
ザワザワとざわめき始める教室の気配に、さすがに睡眠を満喫していた火神も目を覚ます。
そして、目じりに涙を溜めながら大きな欠伸(あくび)を一つすると、まるで何事もなかったかのように隣の席に座っている黒子へ声を掛けた。
「…おい、黒子。どうも教室が騒がしいみてぇだが、なんかあったのか?」
「さぁ…何でしょうね?僕は知りません」
「ふぅん………あ?…オレの筆箱……どこだ?」
「知りませんよ…」
中々火神くんに使って貰えないから、拗(す)ねてどこかに行ってしまったんじゃないですか?
そう黒子が言った頃、桜の木の下で伸びた人影の黄色い髪の上には、小さな桜の花びらがヒラリと一つ舞い落ちた。
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