エアメール (設楽⇒バンビ×紺野)

□さらに会いたくない奴
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「おう、久しぶりだな。」

嫌な奴に声をかけられた。
なんの気の迷いからか久しぶりに街を歩いてみたいなどと思い、先に車を帰し歩いて家まで向かうことにした。ほんの15分ほどの距離。誰にも逢うことはないだろうと安易な考えをしていた。

先ほどもその安易な考えで琉夏に逢ったというのに・・・・。
また同じミスを俺は犯してしまったようだ。

「あ、あぁ。」

桜井琥一。
昔からこいつは好きになれん。というかすごく苦手だ。

こいつの実家と家が近いのを忘れていた。
いや、まさかこいつが家に帰ってるなんて思わないだろ。
家の前で大柄の男が頭にタオルを巻いて休憩している風に見えたそいつがまさに桜井琥一だった。

「お前、家に帰ってたんだな。」
「あぁ、今は親父の仕事手伝ってる。お前こそなにやってるんだよ。」

こいつも弟同様に高校を出て少しは真面目になったようだ。
相変わらずガラは悪いが。

「俺は暇が出来たから帰国しただけだ。まったく、帰ってきて早々、お前らに逢うとは。」

ホントについてない。

「おまえらって・・・・琉夏に逢ったのか?」
「あぁ、さっき花屋に寄った時に逢った。」
「花屋?」
「あぁ、これからバンビに逢いに行くからあいつに花束作るように頼んどいた。」

『バンビ』という名前に琥一が反応する。
そういえば、こいつもバンビのこと好きだったな。

まったく、バンビは・・・・何人の男から惚れられたら気がすむんだ?
あいつ自体に自覚がないのがなんとも腹立たしいとこだが。

「バンビに逢いに行くのに花束か、さすが坊ちゃんは違うねぇ。」

そう嫌味を言われる。さすが兄弟だな。さっきも同じこと言われたぞ。

「お前、バンビからなんも聞いてないのか?」

琉夏が聞いてなかったのだからこいつも聞いてる可能性は低い。

「あっ?あぁ、なんか今度、あいつ大事な話があるとかどうとか言ってたな。それがどうした?」

前言撤回。
こいつは弟と違って頭の回転が鈍いようだ。

「なんでもない。」
「んあっ?気になるだろうが。」

その気迫に負けそうになるが、俺だってもう子供じゃない。

「琉夏に聞けばいいだろう。俺は先をいそぐから。」

「ったく。」
後味の悪そうな琥一の言葉に背を向けて俺は家へと急いだ。

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