☆月闇紅縁☆

□V
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あの感覚があってから約二時間。

町に着いてしまった(その間ほぼ無言である、重い)。

あの鳥は僕があの感覚になっている間に飛んで行ってしまったらしい、残念だ。

「――うわぁ、すごいや!!」

「えぇ、すごい賑やかね」

あ、やっとお姉ちゃんが喋ってくれた。

町『ヴィーチャ』は僕たちが住んでいる『カパンニャ村』より北へ五時間〜六時間くらい行った所にある。

あっちに人、こっちに人、人、人、人。

そしてそれに比例しているかのように家や店が沢山ある。

店にはあらゆる品々がこれでもかと並べられている。

「あっ、そっちに衣料品がある、あっちに食料が――」

「ルーナ、目的は本屋だろう」

「鳥渡だけ、お兄ちゃん!」

初めて来たんだ、鳥渡位観たって良いじゃないか。

「――……ていうか、お母さんが予約した本屋って何処だ」

「「あ」」

うん、忘れてた。

お兄ちゃんも、お姉ちゃんも、そして一番お母さんが忘れてた。

本屋って云っても、お母さんが本を予約した処でないと駄目だし。

しかも、本の詳細聞いてない。

「……如何しましょう?」

「…………如何しような……」

お姉ちゃんが聞いたけど、お兄ちゃんには問題の解決は無理の様だ。
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