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□Repeat
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朝。

窓から差し込む光に目眩がしそう。


そんなことをぼんやり思っていたら、後ろ髪を引かれてベッドに体を打ち付けられた。
スプリングがギシリ、と軋む。

「いたっ…ヒョン?」

「どこ行くの…?」

そう、低音が俺の鼓膜を震わせ、その振動で脳までイカれる。
それだけで、俺の心臓はおかしくなりそうなほど拍動し出す。

まるで、その声が俺を動かすエンジンのようだ、と思う。


「どこも行きませんよ…。だって、ここしか俺の居場所ないですから。」

「ふふ…、じゃあ、出てって?」

そう細められた瞳は笑ってる。

布団の中で、ヒョンの足が俺をぐいぐいと蹴って押す。呆気なく、全裸のまま俺は床に落とされた。

クイーンサイズのベッドに、広々と寝転がり、床に落とされて呆然とする俺を口の片端を上げて見てる。

その口元は、たまらなくセクシーだ。


あぁ…その視線…。
たまりません…。


その視線を感じただけで、背筋を弱い電流のようなものが走り、震える。

嘲笑うような、蔑むような視線がたまらなく好き。
俺を支配してしまう声が、好き。

もう…、ヒョンが好きすぎて、俺ダメかもです。


「スンリヤ…どうしたの?」

「たっぴょん…」

「いい加減服着たら?それに、言っただろ?出てけよ。」

「そんなこと言わないでくださいよ…」

俺は、ベッドの下に座り込み、ヒョンを見上げた。
ヒョンはふっ、と鼻で笑い、俺の方に手を伸ばす。

綺麗な指が、俺の首に絡み付く。
じわじわと力が入れられ、気管が細くなっていく。


「は、ぁ…んぅ…」

息苦しさに、うっとりと甘い息が出る。

ダメ、苦しいのって、たまらなく興奮するんです。その苦しさが、ヒョンから与えられてると思うと、尚更。

「気持ちイイ…?スンリヤ。」

「ぁ…は、い…ヒョン…死ん、じゃう…」

クラクラしてきた。


これは、息が出来ないから?
それとも、気持ちイイから?

もう分かんないです、ヒョン。


「死なないだろ?むしろこれくらいが好きなくせに。嫌ならこの手をほどけ。」

そんなこと、出来ないって知ってるくせに。

「ヒョ、ン…ね、もっと…して…」

「はっ…変態が…」

その指を離した。簡単に息ができちゃってなんだか悲しくなった。

ヒョンはベッドの布団を捲って俺を迎えてくれる。

「…いいの?」

「俺が、床は嫌なの。ほら、さっさとしろよ。」

「はい」


従うのが好き。
命令されるのが好き。

…メチャクチャにされるのが、好き。


ヒョンは、キスしてくれない。
俺がキスをねだると、いつもヒョンは唇を強く噛んでくる。
でも、口の中に鉄の味が広がりながらのセックスって、狂いそうなほど好き。

だから今日も、キスを乞う。

「ヒョン…キス、しましょ?」

「毎回煩い。」

でも、今日は噛んでくれないみたい。
そのかわりニヤリ、と笑う。


え、今日は何してくれるんですか。
ワクワクが止まらないです。


そう期待に胸を膨らませていたら、ベッドに膝立ちしていた俺へ突然伸びてきたヒョンの手が思いっきり俺の口を塞いで、壁に頭を押し付けられた。

ミシリ、と髪が壁と擦れる音がする。
ジンジンと頭が痛み、口を塞いだ手は同時に鼻も塞いでしまう。

息が出来なくて、頭は痛くて。


ヤバイ…マジで気持ちイイかも…。


つい、頬が緩んだ。
口を塞がれててよかった。笑ってるのがバレない。

そんな感情に反して、体は危険を感じてか涙が滲む。


…あぁ、綺麗なヒョンの顔が上手く見えないです。


「スンリ…泣くほど、嬉しい?」

ヒョンのもう片方の手が、俺の脇腹をするり、と撫でる。
ヒョンの手がなぞった肌は、まるで別の何かになってしまったかのように特別な熱を持つ。

俺は、ヒョンの言葉にコクコク、と頷く他はなかった。

「ふ、ふぉ、う…」

ヒョン、ヒョン。

もう、ヒョンが欲しくて、ウズウズして仕方ないんです。

酷く求めてほしいんです。
もっと酷く、してくださいよ。


――昨晩、みたいに。





「はぁ、っは…あぁ…」

ヒョンの手から解放されて、一気に気管に酸素が送り込まれて、それを拒むように俺は噎せた。

「ね…スンリ…辛かった?」

そう、笑いながら聞いてくるから、俺は首を左右に振った。

「足り、ない…です。ヒョン…ねぇ」

ヒョンの肩に手を添えた。

「何…またヤんの?」

「だって…もう俺ヒョンが欲しくて仕方ないんです…。」

脇腹をなぞった後の、俺の太股辺りに添えられた手に腰を揺らせて押し付ける。

それでも、ヒョンの手はちっとも動かなくて。何だかこれじゃあヒョンの手で自慰してるみたい。


あー何、今日はそーいうシチュですか?
…嫌いじゃないです、むしろ大好き。


「ん…ぁ、あ…」

動かないヒョンの手に自分から、てなんか本当にやらしい。

「あんまり、勝手にヨくなるなよ。」

「ぁあっ!」

ぎゅう、て。
根本から強く握られる。

なのにヒョンの長い指は締め付けるだけじゃなくてちゃんと刺激もくれて。

ちゃんとした刺激に、目の奥にチカチカと光が瞬いた。


「あっ、ヒョン…!緩めて、イきそっ…」

ヒョンの手に触られてる…、て考えるだけでダメなんです。
いつもはこんなに早くないのに…。

「やだ。いいって言うまでイくなよ、スンリヤ。言うこと聞けるな?」

ちゅ、とヒョンは俺の首筋にキスをし、それから強く吸い付いた。
ピリピリ、と肌が痛む。

「ん…っ、」

ゾクゾクと背筋が震える。
もう本当に限界に近いのに、ヒョンの指のせいで熱が体を駆け巡って、逃げ口を失ってる。


「スンリ…気持ちイイ?」

耳元で、そんなあまぁく囁かれたら、もうダメです。おかしくなっちゃいます。

鼓膜が震える振動で、脳が溶けそう。

「ヒョン…よすぎてヤバイ…ぃい」

「はは…その顔、本当にイイんだな」

…え?俺今どんな顔してますか?

もう、自分のことでいっぱいいっぱいなんです。ごめんなさい、ヒョン。


体の中で、こんなに何かが暴れまわる感覚を感じたのは初めてで。
指先も、足も、カタカタと震えて、それが甘く痺れる。

「ヒョン…も、ほんと、イきたい…」

もう、痛い程に張りつめていて。

生理的な涙が流れて頬を濡らす。
ヒョンの肩に少し遠慮がちにもたれて、俺は懇願する。

でも、実は、心の中ではこのままの刺激が欲しいって気もしちゃう。


「嘘、めちゃくちゃイイくせに。」

…当てられちゃいました。

だって、仕方ないじゃないですか。
ヒョンに堕ちゃったら、普通のセックスなんて満足できなくなるんですもん。

「あー…、バレ、ました?」

ふふ、てつい我慢してた口元が緩んだ。
そしたらまた、「変態」ですって。

そんなことを言いながら、ヒョンのかたい指がするり、と後ろを撫でた。

期待に、胸が踊る。

「ヒョン…、しま、しょ?」

「…仕方ないな。」

そう言って、またニヤリ、と笑った。
本当は、ヒョンだってしたいんでしょ?

「じゃ、入れる前に一回出しとけ。」

ヒョンが、俺のを締め付ける指を少し緩めたから。

「えっ、や、です!」

反射的に、そう言ってしまった。


一瞬、ぽかん、とするヒョン。
それから、やれやれ、と苦笑した。

「お前、本当にぶっ飛んでんな。」

「だって、ぇ…」

ギリギリまでイくの止められた状態でヤんのって、気持ちよさそう…なんて。

思っちゃったから、ね?ヒョン。


「手、緩めないで…そのまま、ヒョンのちょうだい…?」

「お前…本当…」


ね、そうして俺に天国見せてください。

何度も。



Repeat

(何度も何度も何度も何度も何度も…俺を酷く愛して下さい。)

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