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□合せ鏡
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miniからの派生
(本編は次ページ)
「みんな大騒ぎだよ」
「そりゃそうでしょ」
あー、本当に楽しそうね、お前。
「誰もジヨンの行方知らないんだよ?」
嬉しくて仕方ない、みたいな顔で俺の首に手を伸ばす。
振り払ってやりたいが、そんなことをすれば後が怖い。
「いい子にしてた?」
「うん」
すっごい暇だったけどね。
監禁されてからしばらく経つ。
首にチョーカーが付いていることくらいしか違う点は無い。
いや、外に出られないことと連絡手段がないこともだね。
何不自由はないけれど、俺とヨンベ以外の人が居ない世界みたいな錯覚を覚える。今までは他に誰が居たんだっけ?
「ご飯にしよっか」
食事の時間だ。
ヨンベは小さい子にするみたいに俺に一口一口食べさせる。
「美味しい?」
「うん、美味しい」
味なんてもう分からない。
正直、泥でも一緒かもしれない。
飯が終わると決まって眠くなる。
どうしてなのか全く分からない。
ねむい
「今日ね、テソンに"やけに上機嫌ですね"って不審がられたんだよ。俺隠すの苦手なのかな」
テソン、って誰だっけ。
どっかで、聞いたことは、あるはずなんだけど・・・
眠気に押し潰されるようにして、俺の意識は沈んでいった。
『初期化』
(違うよ、これがジヨンと俺にとってのあるべき世界だ)