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□皮肉
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(タプテソ前提)

「えー酷いですよ」

「あの人よりはマシだよ」

人通りの少ない廊下の突き当たり。
僕が壁を背にする形で、向き合っているのはテソニヒョンだ。

「いやいや、僕の身にもなって下さいよ。後で絞められるの確定じゃないですかぁ」

「いつもの事だろ?」

何を今更。
そういいながらヒョンは笑うけど、冗談では無いのだろう、目が本気だ。

「あの人がどれだけテソニヒョンを溺愛してるか分かってないでしょ?」

「溺愛?誰が?」

「ええー、・・・もういいです」

痴話喧嘩したくらいで拗ねすぎですって。いっつもうっとおしいくらいバカップルなのに、こういうところは頑固なんですから。


しっかたないなぁ、マンネが一肌脱いであげますよ。

「ほんとに?」

「じゃあ、予行演習しときませんか」

「?」

ヒョンを嫉妬させたいんでしょう?
出来る物ならどーぞ。

「いいから」

「あ、うん」

「このまま真っ直ぐ来てください。そう、そういう感じ。そのまま壁に追い詰めて」

流石に俺の意図が分かったらしく、少しニヤつくテソニヒョン。
こういう事したら、やっぱりやーめた、とか言ってくれると思ったんですけど、意外とノリ気?
それにしても、ヒョンってそんな顔できたんですね。

「このまま、」

「キス?」

「んっ」

軽く触れた唇。
軽く混乱させてやろうと思ったのに残念。

「分かってるじゃないですか」

「そりゃ俺だって聖人君子じゃないし」

「でも、あの人はそのくらいに思ってるんじゃないですか?」

だぁってあなたにメロメロですもん。

「タッピョンの話は今は無しだよ」

続きは本番の時に、ね?

あー可愛いですね。
そんな事しなくても、手を繋いだりするだけでヒョンを嫉妬に狂わせるには十分なのに。

「yes sir」

そう言って僕はにっこり可愛らしく微笑む。

じゃあ、アナタの肩越しに見えてる人の事は気にしないでおきますね。

僕と一瞬目があった"その人"は踵を返して行ってしまった。

『皮肉』
(ああ、運命って恐ろしい)

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