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□Engage
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結局スタートダッシュで出遅れたせいで、競走は負けてしまった。
「遅いー」
「しょうがないですよ」
「アハハ、」
ジヨニヒョンはちょっと笑って扉に手をかけ、ゆっくりと押す。鍵は掛っていないらしく、ギィっときしむ音がして、木製の扉がゆっくり開く。
ヒョンが足を踏み入れたのを見て、俺も慌てて後を追って中に入る。
「ヒョン?」
ステンドグラス越しに日が差し込む少し薄暗い教会は時が止まっているかのような、まるで絵画のようだった。
「ここね、今は誰も使ってないんだ」
「どこでこんな場所知ったんですか?」
「たまたま。本当に偶然見つけた。すぐにでもスンリヤと来たくて」
じゃあ、俺と貴方以外は知らないんですね。
嬉しい。
「ヒョンによく似合ってますね」
「似合うって?」
「どことなく神聖で、現実味が無くて」
こんなにずっと一緒にいてるっていうのに。
どうしても俺よりずっと高いところにいる気がする。
「そんなことないって。俺はお前の横に居るんだから」
「本当に?」
「誓ってもいいよ」
「教会で誓うっていったらまるで結婚式みたいですね。」
「いいこと考えた」
何を思いついたかはちょっと聞かないことにした。