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□天使
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「どうしたの、テソン。
ずーっと月ばっかり眺めて。」

テソンはさっきからずっとベランダに出て月を見ていた。

ああ、とやっとこちらに気づいたそぶりを見せてテソンがこちらを見る。

「懐かしいなぁって想って。」

「懐かしい?」

促すとテソンはなにかを思い出すときのような調子で話始める。

「俺がね、まだ飛べた頃のこと、思い出してたんですよ。」

「テソンア飛べたの?」

「あれ、ジヨニヒョン知らないんですか。
ちゃんと羽もありましたよ?」

「・・・」

テソナの冗談だとは思うけれど微笑みながら言われては本当なのかもと、思ってしまう。
テソンだから。

「大きい羽?」

「そうですよ、両手広げたより大きくて、白くて綺麗な羽。」

「どうして今は飛べないの?」

ゆっくり紡ぐ夢物語。
どんな風に答えてくれる?

「あなたの側に行くときに無くしました。ヒョンの側に居たいなって思ったから要らなくなったんですよ。」

「ちょっともったいない。」

もしテソンに白い羽があればすごくきれいだったろうに

「そんなことないです。
そのくらいヒョンが好きなんです。」

「…どこにも飛んでいかないでね。」

「行きませんよ、だから側においておいてくださいよ?」

「離れたいって言われても離せない」

「嬉しいです。」

本当に優しく微笑むから。
いとおしくなって抱き締めた。

『天使』

(俺は君を手放せない)

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